第3 建設活動の動向、建設産業と不動産業



1 経済情勢と建設活動の状況等

1.平成9年度の我が国経済
 平成9年度の我が国経済は、当初、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が現れ、その後、反動減は薄れてきたものの、大企業や金融機関の倒産等により家計、企業の景況感が悪化したこと等から停滞した。その結果、平成9年度実質国内総生産は前年度比-0.7パーセント(速報ベース)と+3.2パーセントであった前年度を下回った。

2.建設活動の状況
 平成9年度の建設投資の状況をみると、名目で前年度比9.8パーセント減の74兆6,200億円、実質(平成2年度価格)で同10.8パーセント減の69兆6,300億円程度となり、名目、実質とも減少となった。

GDPと建設投資の推移

(1)政府建設投資の動向
 平成9年度の公共事業については、前年度をやや下回る水準で推移した。このため、平成9年度の公共工事着工は前年度比-2.8パーセントとなった。

(2)住宅投資の動向
 平成9年度の新設住宅着工戸数は、金利は史上最低水準で推移したものの、消費税率引上げを控えた駆け込み着工の反動減等から持家、貸家が大幅減となった。この結果総計でも 1,341,347戸となり、前年度比17.7パーセント減と大幅に減少した。また、平成9年度の住宅投資は、24兆6,000億円程度で前年度比16 2パーセントの減少となった。


新設住宅着工戸数と地価、工事費、金利動向の対比

(3)民間非住宅建設投資の動向
 平成9年度の民間非住宅建築の着工床面積は、前年度比2.6パーセント減と3年振りに減少し、工事費予定額でも10兆3,618億円、前年度比2.2パーセント減と再び減少した。民間土木工事は、前年度比18.4パーセント減と5年連続の減少となった。

3.地域別建設活動
 平成9年度の地域別建設活動を、建設総合統計による建設投資額でみると、新設住宅着工戸数の大幅減などの着工の減少を反映し、全ての地域で前年度比減少した。
 平成9年度の我が国経済は、当初、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動が現れ、その後、反動減は薄れてきたものの、大企業や金融機関の倒産等により家計、企業の景況感が悪化したこと等から停滞した。その結果、平成9年度実質国内総生産は前年度比-0.7パーセント(速報ベース)と+3.2パーセントであった前年度を下回った。