(専門工事の“匠”の技を評価する 〜優秀施工者(建設マスター)建設大臣顕彰〜)

 建設産業の第一線で「ものづくり」に携わる技能労働者の誇りと意欲を増進させるとともに、その社会的評価の向上を図ることを目的に、建設現場で施工に直接従事している現役の技能者の中から、特に優秀な技能,技術を持ち、若い技能者の指導や育成等に多大に貢献している者を建設大臣が顕彰している(平成4年度創設)。
建設マスターに顕彰される要件としては、
1) 現場施工の第一人者たる卓越した「技」を持っている。
2) 工事施工に多大な貢献をしている「現場のエース」である。
3) 若い技能者の指導・育成に積極的に取り組む「良き師匠」である。
4) 現場での安全・衛生活動に注力する「セーフティ&クリーンマン」である。
5) 建設現場に従事する者の模範となる「優れた人物」である。
があげられている。
 これはドイツの「マイスター制度」にならい、現場で蓄積された経験や技に対する尊敬の念と、技能者の社会に対する貢献度の高さを改めて認識してもらうことを狙うものである。また、建設マスターに憧れて建設業に就きたい、と思う者がでるような、夢のある職業としての建設業の魅力をアピールすることにも資している。
 建設マスターとして顕彰された方々はこれまでに2,414名に達しており、今後とも、第一級の技能のスペシャリストである建設マスターの方々が、建設現場で、また、現場を離れての教育訓練の場等で技術指導者として活躍され、また、その「技」を地域社会でのボランティア活動に貢献されるなど、一層の御活躍をされることを期待している。


〈建設マスターへのインタビュー〉
塗装工の建設マスター
 「工事に手抜きなどがみられた場合、それが外見上では分からないような細かいものであっても、すぐ職長を呼びます。そしてただ怒るのではなく、「こんなところで手間を省いても、将来何年か過ぎて欠陥工事だとクレームが出た場合、全部手直しすることになってコストもかかるぞ」というように説明して職長を納得させるように心がけています。」
鳶工の建設マスター
 「工程的にスムーズに進めるためには、やはり職長同士が密に連絡を取り合って、譲るところは譲る、進めるところは進める。予定の工程どおりに行かないときもありますから、職長同士の話し合いが大切ですね。」
機械土工の建設マスター
 「昔は自分の腕を信じてやっていました。実際に動かしてみて、こうしたらいいのではと気付いたところは現場で直していましたね。扱いやすくしようと、常に考えていました。今は実際には、コンピューターの電気関係が強くなっていて、スイッチ一つで調節ができてしまう。自分の技術ではなく、機械を操るための技術が必要になってきます。」
(資料)「建設労働資材月報」(平成11年1月号、3月号、6月号)
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(建設マスターは現場でこのようなデザインのバッチを付けている。)