ところ変われば、土地買いも変わる

 日本で近代的土地所有権が確立したのは、127年前の明治6年の地租改正条例に遡ります。土地所有権を確認するものとして、無料の地券が配賦されました。さて、この分野で比較法制を行うと諸外国の用地取得業務は、日本のそれとはずいぶん違います。第一に言えることは、任意買収期間が短時間で、速やかに裁判手続きに移行することです。我が国では、任意の用地取得だけでも5年から10年、あるいは、それ以上というのが通常ですが、諸外国では、裁判が大きな役割を担っています。弁護士あるいはこれに準ずる資格者の数が少ない日本との違いでもあるようで、アメリカやイギリスでは、高額物件を中心に代理人同士の交渉になります。第二に、市場価格が尊重されています。日本は、素地、新築市場中心ですので、ここでも、大きな違いになります。第三は、判例の積み重ね、コモン・ローの世界だということです。
 我が国では、現在、規制緩和、IT革命、ISO取得等いろいろな分野で基準等の世界統一化が進んでいます。用地の任意取得の手続きも、来る21世紀は、そのグローバル・スタンダードの波が寄せる時代であるかもしれません。

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