(2)建設行政の情報化施策

イ 「基本計画」、「建設省行政情報化推進計画」等に基づく主要施策
 建設行政における情報政策の基本的な方向付けを行うとともに、建設行政に係る情報システムの開発及び調整の推進を図るため、昭和60年5月、事務次官を長とする「情報政策推進委員会」を設け、その下に部会及び分科会等を置き積極的に建設行政の情報化を推進している。
 平成11年度においては、建設行政の情報化を積極的に推進するため、「建設省行政情報化推進計画」に基づき、次のような施策を実施した。
 1) 平成7年度に整備した「建設本省LANシステム」(LAN回線で接続された職員1人1台パソコン環境)の管理・運営の充実及び活用方策の検討並びに建設本省内のイントラネット機能等の整備・充実を図るとともに、特にシステムのセキュリティ面での機能の充実を図った。
 また、職員の情報活用能力の向上を図るため、新規採用職員及び本省転入者を対象としたパソコン講習会並びに建設本省LANシステムの運用に当たり、その中核となるLAN管理者を対象としたシステム講習会を実施した。
 2) コミュニケーション型行政推進のため、平成11年4月より回線容量を増強し、インターネット利用環境の向上を図るとともに、省庁間の情報ネットワークである霞が関WANの利用環境の向上を図り、建設本省LANからの霞が関WANの利用を可能とした。
 3) 「基本計画」に基づき、省庁間の文書交換について、文書の真正性、内容の秘密性を確保しつつ公文書等を電子的に送受する「省庁間電子文書交換システム」を平成12年3月から運用開始した。
 4) 建設本省と地方建設局等とをネットワークで接続している建設行政WANについては、情報通信ネットワークの高度化を図るため、引き続き整備・充実を図った。
 5) インターネット、パソコン通信による建設行政情報の提供を引き続き実施するとともに、建設省ホームページの一層の充実を図った。
 6) 「基本計画」に基づき、建設省クリアリング(行政情報所在案内)システムによる、インターネット上での建設省に関する行政情報の所在の提供を引き続き実施した。
 7) 「電子化に対応した申請・届出等手続の見直し指針」(以下「指針」という。)を踏まえ、平成8年度に策定した建設省における許認可等申請手続の電子化に係る実施計画のフォローアップを行うとともに見直しを行った。
 また、平成12年度においては、次のような施策を実施し、引き続き建設行政の情報化を推進するとともに、平成13年1月の省庁再編による国土交通省の発足にあわせて、現在四省庁で個別に運営しているシステムの統合・再編成を推進する。
 1) 「建設本省LANシステム」の管理・運営の充実及び機能強化並びにケントラネット、各種データベース等の整備・充実を図る。
 2) 平成13年4月の情報公開法の施行に向けて、行政文書のファイル名、作成者名等の書誌的情報をデータベースとして管理し、オンラインで提供するための「行政文書ファイル管理システム」を整備する。
 3) 「基本計画」に基づき「総合的文書管理システム」の整備に着手する。
 4) インターネット、パソコン通信による建設行政情報の提供を引き続き実施するとともに、ホームページ及びクリアリング(行政情報所在案内)システムの一層の充実を図る。
 5) 建設行政WANについては、管理・運営及びイントラネットの充実を図る。
 6) 「指針」に基づき、建設省における許認可等申請手続の電子化に係る実施計画のフォローアップを実施する。
ロ 建設省専用通信網、高度情報通信システムに関する主要施策
1) 建設省専用通信網の整備・高度化の推進
 イ)建設省専用通信網は、北海道有珠山の火山噴火初期から現地監視画像を収集し、国土庁、官邸へ配信するなど、これまでの全国各地の災害等において、情報収集、連絡確保手段として、多重無線通信回線、衛星通信システム及びヘリコプター画像伝送システム等の運用を行い、大きな威力を発揮している。今後とも、収集した災害画像を高画質かつリアルタイムに配信するため、多重無線通信回線の大容量化の検討を行い、画像伝送回線の強化・拡充を推進する。
 ロ)災害現地等からの情報収集機能を充実するためK-COSMOS(建設省移動通信システム)や小型軽量で機動力に優れるKu-SAT(衛星小型画像伝送装置)等を有効活用している。さらに今般、大規模広域災害時においても確実に情報の収集・提供等が可能で関係機関間で相互に通信できる新たな移動通信システムの検討を行い、通信ネットワークと防災情報システム等を合わせた防災情報通信基盤の計画的な整備・高度化、運用管理体制の強化を推進する。
 ハ)災害発生時においては、災害現場画像及び各種データ(雨量、水位、土砂移動、落石その他)が災害発生後の現場監視、復旧作業に重要である。このため、監視カメラと衛星通信車の間を無線伝送できるFPU(可搬型画像伝送装置)や災害現場及びその周辺において容易に設置でき、各種データを迅速に収集できる災害対策用多目的可搬型テレメータの整備を推進する。
2) 高度情報通信システムの整備・高度化の推進
 イ)公共施設管理用光ファイバの整備の進展に伴い、これまでの点による管理から情報化社会に対応した時間的・空間的に連続した管理が可能となり、光ファイバ回線をメディアとした現場画像を容易に得ることができるようになる。また、現場に居ながら職場の各種情報通信システムにアクセスし必要な情報をリアルタイムに送受信できるようになる。さらに、施設の遠隔監視、現場画像を確認しながらの遠隔制御が可能となる。
 しかしながら、光ファイバ回線は災害時に断線等の障害が発生するおそれがあることから、各種情報通信システムの信頼性を確保するため、災害に強い多重無線通信回線と高速・大容量伝送が可能な光ファイバ回線をシームレスに接続し、高度情報通信システム全体の信頼性の向上及び高度化を推進する。
 ロ)利便性、経済性の向上と情報の共有化を図るため、クライアントサーバーモデルや携帯型端末、インターネット技術の導入による河川情報システム、道路交通情報システム、レーダ雨雪量計システム、地震計ネットワークシステム等の各種情報通信システムの高度化を推進する。
3) 光ファイバネットワーク構築技術の検討・策定の推進
 イ)公共施設管理用光ファイバ網を整備する中で、その全国整備を考慮した統一的な管理が必要であり、より効率的に光ファイバ及び光ファイバ収容空間の管理を行い、通常の管理はもとより、災害・事故時等の復旧作業の迅速化、確実化を実現するための光ファイバ管理技術の検討・策定を推進する。
 ロ)効率的、効果的な国土マネジメントを推進するためには、各種センサによるデータ収集に加え、ITVカメラ画像、衛星通信画像、ヘリコプター画像等により国土の状況をタイムリーに把握・判断できることが必要である。
 このため、公共施設管理用光ファイバネットワークをメディアとして飛躍的に増大する画像情報等を迅速かつ効率的に収集、蓄積、表示、発信するための画像管理技術の検討・策定を推進する。