2 平成11年度、12年度の主要施策

(1)国土づくりにおける高度情報化施策

イ 建設省情報通信ネットワークの整備
 1) 道路・河川・下水道等における施設管理の高度化・効率化を図るため、光ファイバネットワークを整備する。また、その収容空間を整備するとともに、民間事業者への開放を推進する。
 2) 次世代都市整備事業の一環として、都市における下水道管理用光ファイバネットワークを活用し、これと市役所、小中学校等の公的施設とを結ぶ光ファイバネットワークをパイロット事業として整備する。
 3) 地域情報通信ネットワークプランの推進
 「建設省情報通信ネットワークビジョン」を具体化するために、各地方ブロックごとに河川、道路、下水道の施設管理用光ファイバ及びその収用空間のネットワークを「地域情報通信ネットワークプラン」として取りまとめて公表しており、即地的な視点に立った情報通信ネットワークの構築を推進している。
ロ 防災分野の情報化の推進
 1) 地震、火山噴火、豪雨、豪雪等災害時における情報収集・伝達の機能を強化するとともに、防災情報を広く国民に提供するための総合的な防災情報通信基盤として、建設省専用通信網を基幹ネットワークとし、建設省、官邸、国土庁等中央の防災機関、都道府県、公団等の関係機関を結ぶ総合防災情報ネットワークを強化・拡充することで、速やかな初動体制の確立と早急な応急復旧対策の策定等に資する。
 2) 全国に配置したGPS(汎地球測位システム)連続観測施設により地殻変動をリアルタイムに監視するとともに、予測分析等を行う。また、地殻の変形モデルの解析により、データ取得条件及び観測点配置の最適化を行い、効率的な監視手法を確立する。
 3) 河川管理情報、洪水、土砂災害、津波等の災害情報をデータベース化し、一般への情報提供を推進する。なお、土砂災害から人命を守るため雨量等の情報伝達や住民との情報交換を行うシステムの整備事業を平成12年度より創設した。
ハ GIS(地理情報システム)の整備・相互利用の促進
 防災等の公共的活動、産業経済活動及び住民生活等、広範な分野でのサービスの向上に資するため、全国の基本的な地理情報を電子化し、GIS基盤情報として整備する。
ニ 道路・交通分野の情報化の推進
 1) 料金所渋滞の解消や管理コストの節減等を図るETC(ノンストップ自動料金収受システム)について、東関東自動車道、首都高速道路大宮線など首都圏の主要な有料道路の料金所で平成12年4月サービスを開始した。また、VICS(道路交通情報通信システム)について、施設整備を推進してサービスエリアを拡大するとともに、情報内容の充実などサービスの向上を図る。
 2) 道路と車の協調によりドライバーへの危険警告や運転補助を行うAHS(走行支援道路システム)について、平成12年度に実証実験を行うことを目標に研究開発を推進する。また、地域間やシステム間の互換性を確保し、効率的にITS(高度道路交通システム)を推進するための基準類の整備等、システムの共通的な基盤(プラットフォーム)の構築や国際標準化活動を支援する。なお、平成12年度より、一般国道及び都道府県道等において、道路の改築事業と一体的に行う光ファイバ、道の駅の情報端末、センサー類のITS関連施設の整備に対する補助事業を創設した。
 3) 都市における地下街、駐車場等の公共的空間等の総合的整備に併せ、都市交通の結節拠点として、都市情報提供システムの整備を実施する。
ホ 住宅分野の情報化の推進
 マルチメディアの活用及びインターネットやデジタルTV放送等の社会情報インフラの普及を念頭に置き、高齢者等の安全性・利便性の確保や、在宅勤務・在宅学習等の円滑な実現に向けた、次世代における住宅の適切な情報化を検討し、情報化モデル住宅の建設、普及啓発等の実施を支援する。
ヘ その他
 1) 河川、海岸等水辺に関する歴史・文化等の情報、水辺空間の利活用情報(グラウンド等の施設に関する情報)、水辺に関するイベント情報、環境情報等につきデータベース化等を図るとともに、情報提供手段を構築する。
 2) 建築申請手続の迅速化及びコスト縮減等を図るため、申請のオンライン化、審査支援システムの開発、確認申請図書の電子化等を推進する。