(5)都市防災対策の推進

 自然災害あるいは事故災害から都市住民の生命、身体及び財産の安全を守るとともに、生活機能の保全を図ることを目的に、災害対策基本法に従い作成される防災基本計画、防災業務計画等に基づき、災害に強いまちづくり等を推進する。
イ 災害の予防対策
1) 震災に強いまちづくり
イ)都市の防災構造化の推進
 「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律」に基づく施策の推進を含め、都市の面的整備や段階的整備により、防災上危険な密集市街地の解消に努めるとともに、災害時の延焼拡大防止、避難・消防・救援活動等に寄与する道路、公園等の根幹的な公共施設を整備し、震災に強い都市構造の形成を図る。
 ・防災上危険な密集市街地の整備等
 土地区画整理事業、市街地再開発事業、都市防災推進事業等多様な都市整備事業の重層的な実施により、防災上危険な密集市街地の整備を推進するとともに、防災拠点、防災安全街区の整備を推進する。平成12年度は、都市防災推進事業により事業費16億円、土地区画整理事業・都市再生区画整理事業により事業費305億円の内数、市街地再開発事業・住宅街区整備事業・地区再開発事業・再開発緊急促進事業により事業費2,562億円、街路事業(緊急消防対策街路)により事業費301億円、密集住宅市街地整備促進事業により事業費252億円、住宅地区改良事業により事業費496億円をもって実施する。
 ・避難地、避難路の整備の推進
 災害時における安全な避難地及び避難路を確保するため、災害応急対策施設等の防災機能を有する都市公園、街路の整備を推進しており、平成12年度は、公園事業(防災公園、グリーンオアシス)により事業費1,900億円、街路事業(避難路)により1,232億円をもって実施する。
ロ)ライフラインの信頼性の向上
 災害時における水道、ガス、電気、電話等のライフラインの安全性、信頼性の確保に資するため、街路事業等により共同溝等の整備を図る。平成12年度については、事業費371億円をもって実施する。
 また、災害時においても下水道の機能を維持するため、複数の処理場を大深度シールドトンネルで連絡するなど、下水道施設のネットワーク化を推進する。
ハ)建築物、構造物の安全化
 既存の道路橋、河川管理施設、下水道、官庁施設、公営住宅などの建築物、公共施設等の耐震点検を踏まえ、必要に応じて補強し、これらの耐震強化を推進する。
2) 水害に強いまちづくりの推進
 市街地における浸水被害を防ぐため、下水道事業により雨水管渠等の整備を推進するとともに、貯留浸透等の流出抑制にも配慮した総合的な雨水対策を推進する。また、地下空間浸水等の都市型水害に対応するため、地下街等内水対策緊急事業を平成11年度に創設、引き続き推進する。平成12年度については事業費3,582億円をもって実施する。
3) 雪に強いまちづくりの推進
 豪雪地帯の都市における冬季の都市機能の確保と居住環境の改善を図るため、平成12年度は積雪堆雪に配慮した体系的な市街地内道路の整備や消融雪施設、流雪溝等の整備を行うスノートピア道路事業を実施するとともに、下水処理水等を活用することにより市街地からの速やかな積雪の排除を行う新世代下水道支援事業制度リサイクル推進事業、及び通年利用型の公園整備を推進する。
ロ 災害復旧
1) 都市災害復旧事業
 主として都市計画区域内において下水道、公園、街路等の都市施設が災害を受けた場合等や火山の爆発、その他火山現象により著しい災害を受けた場合において、災害復旧や降灰除去を速やかに行うことによって、民生の安定を図り、公共の福祉を確保する。
2) 特殊地下壕対策事業
 戦時中に築造された防空壕等の特殊地下壕については、経年変化による老朽化や土地利用の変化などにより、危険な状態になっているものがある。
 これら危険度が高いものについて埋戻し等の対策事業と、従来より都市災害復旧事業として行っていた都市施設の災害復旧に伴う防空壕の埋戻し、防災処理等を併せて特殊地下壕対策事業として、事業費2億円(国費1億円)をもって実施する。