(2)住宅・土地関係税制の改正

イ 住宅税制
 税制においては、財政、金融上の措置と併せて、住宅取得能力の向上、良質な住宅建設の促進等により居住水準の向上を図ることを目的として、各種の軽減措置を講じている。
 平成12年度税制改正においては、本格的な景気回復に資するため、民間投資の促進を目指す等の観点から、各種の措置が講じられた。このような状況の中で住宅関係の税制においては、昨年実施された住宅ローン控除制度の拡充、新築住宅等に対する固定資産税の特例措置の床面積要件を引き上げる拡充措置などの諸改正が講じられた。
1) 住宅ローン控除制度の拡充
 現下の我が国の経済状況に鑑み、住宅投資の促進により、平成11、12年の一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せ、景気回復を一層確実なものにするとともに、住宅の質及び居住水準の向上を図るため、昨年実施された住宅ローン控除制度につき、平成11年、12年居住分に適用することとされていた大幅な拡充措置を、平成13年6月30日までの居住分についても適用することとされた。
2) 新築住宅等に対する固定資産税の特例措置の拡充及び適用期限の延長
 良質な住宅ストック形成の促進を図るため、新築住宅等に対する固定資産税の特例措置を2年間延長するとともに、床面積要件を50m2以上280m2以下(従来:40m2以上240m2以下)に引き上げる措置が講じられた(共同貸家等の下限は、従来通り35m2)。
 その他、良質な賃貸住宅の供給促進のための特定優良賃貸住宅及び都心共同住宅の割増償却制度や、阪神・淡路大震災の被災者の住宅再建を引き続き支援するため、登録免許税、固定資産税等の特例措置が延長されるなど、所要の改正が行われた。
ロ 土地税制
 平成12年度税制改正においては、今回の評価替えに伴って地価が下落する中で税負担の適正化が求められていた固定資産税について税負担の軽減を図るとともに、土地の有効利用等を促進するため、登録免許税等の流通税について昨年度講じられた特例の延長等の措置を講じた。
1) 固定資産税の税負担の段階的な引き下げ
 固定資産税は3年ごとに評価替えが行われるが、平成6年度(評価替えの年)の評価替えにおいて、公的土地評価の均衡化・適正化の観点から、それまで地域によってばらつきのあった評価を地価公示価格の7割を目途として行うこととした(7割評価)。このことによる税負担の急増を防ぐための措置として負担調整措置等が講じられたが、続く平成9年度の評価替えにおいても、大都市部の地価の著しい下落傾向に伴う納税者の税負担感の増大に配慮し、特に税負担感が高いと考えられる商業地等における課税標準額の上限を評価額の80%に引き下げる等の措置が講じられている。
 平成12年度の評価替えにおいても、特に負担感が高いと考えられる商業地等に配慮し、商業地等において課税標準額の上限を評価額の75%(平成14年度は70%)まで引き下げる等の措置が講じられたところである。
2) 登録免許税・不動産取得税の課税標準の負担調整措置の延長
 登録免許税及び不動産取得税については、土地取引の活性化を促進するため、課税標準を、登録免許税は固定資産税評価額の3分の1、不動産取得税は2分の1とする負担調整措置がそれぞれ3年間継続されること(登録免許税:平成12年4月1日〜平成15年3月31日まで、不動産取得税:平成12年1月1日〜平成14年12月31日)となった。
3) 不動産特定共同事業(匿名組合型)に係る不動産取引に関する税制の特例の創設
 不動産特定共同事業(匿名組合型)について不動産取得に係る負担を軽減することにより、同事業の積極的な活用を通じた土地の有効利用を促すため、不動産取引に関する税制の特例措置が2年間に限り講じられることとなった。
 登録免許税  :30/1000(本則50/1000)
 不動産取得税 :課税標準(不動産の価格)を4/5に軽減
 特別土地保有税(取得分):非課税