(3)良質な賃貸住宅の供給

イ 公営住宅
 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対して良質な賃貸住宅の供給を行うことを目的に昭和26年度より建設が行われ、ストックは約215万戸となっている。
 平成8年度には、今後の長寿社会への対応等を図るため、高齢者等に配慮した入居者資格の設定、公営住宅の種別区分の廃止、入居者の収入と住宅の立地、規模等に応じた家賃の決定、民間事業者等が保有する住宅を公営住宅として借り上げ、又は買い取る方式の導入、公営住宅建替事業の施行要件の緩和等の公営住宅制度の改正を行ったところである。
 平成12年度においては、供給戸数37,000戸の予算を計上するとともに、地方公共団体による主体的な事業実施が行われるよう、配分方法の見直し、交付決定後の変更範囲の拡大等を図る「公営住宅等建設費統合補助」の創設、既存ストックの活用による効率的な公営住宅供給を図る「公営住宅ストック総合改善事業」の創設を行ったところである。
ロ 改良住宅等
 改良住宅等は、住宅地区改良事業等を行うことにより、住宅に困窮する従前居住者向けの公的賃貸住宅である。
 平成12年度においては、供給戸数2,500戸の予算を計上するとともに、既存ストックの活用による効率的な改良住宅供給を図る「改良住宅ストック総合改善事業」の創設を行ったところである。
ハ 公団賃貸住宅
 都市基盤整備公団は、大都市地域において、公営住宅との適切な役割分担の下に、住宅市街地の整備と併せ、民間事業者による十分な供給が困難なファミリー向け賃貸住宅等を中心として、職住が近接した良質な賃貸住宅の供給を推進することとしており、平成11年度末の管理戸数は約74万戸である。
 平成12年度においては、供給戸数12,500戸の予算を計上している。
ニ 公社賃貸住宅
 地方住宅供給公社においては、地域の賃貸住宅の需要状況に応じ、住宅金融公庫融資や地方公共団体融資等の資金を活用して良質な賃貸住宅を供給してきており、平成11年度末の管理戸数は約15万戸となっている。
 平成12年度の公社賃貸住宅の供給については4,000戸の住宅金融公庫融資を計画している。
ホ 特定優良賃貸住宅
 特定優良賃貸住宅は、特に不足が著しいファミリー世帯向けの優良な賃貸住宅の供給を促進するため、民間の土地所有者等の建設する良質な賃貸住宅に関して、建設費及び家賃減額のための助成を行うこと等により公共賃貸住宅として活用するものである。平成11年度には、所得の伸びの鈍化や賃貸住宅市場の低迷等の経済情勢の変化等を踏まえ、従来の傾斜型家賃対策方式に加え、新たにフラット型の家賃対策方式を導入し、選択制とするとともに、一定規模以上の住宅について、調査設計費、供給処理施設等の補助対象の拡充を行った。
 平成12年度においては、供給戸数42,000戸の予算を計上している。
ヘ 高齢者向け優良賃貸住宅
 高齢者の安全で安定した居住を確保するため、建設費補助、家賃対策補助等を行うことにより、民間の土地所有者等の経営意欲を誘導しつつ、バリアフリー化、緊急時対応サービス等高齢者に対応し、低廉な家賃で入居できる高齢者向け優良賃貸住宅の供給を推進する。平成12年度においては、供給戸数7,000戸の予算を計上しており、また、シルバーハウジング・プロジェクトに加え高齢者向け優良賃貸住宅についても、生活援助員(ライフサポートアドバイザー)による生活支援サービスの導入を図ることとしている(図2-VI-15)。
ト 住宅金融公庫による民間賃貸住宅貸付け等
 民間賃貸住宅貸付け(ファミリー賃貸住宅貸付け)は、住環境の良好な地域に中層耐火構造等の賃貸住宅を建設する者に対して金利・融資額の面で有利な条件の貸付けを行うことにより、世帯向けの良好な民間賃貸住宅の供給を促進するものである。
 また、小規模敷地活用型賃貸住宅貸付け(レントハウスローン)は、大都市における農地や老朽木造賃貸住宅の敷地など比較的小規模な低・未利用地を有効活用して低・中層の良好な世帯向け民間賃貸住宅の供給を促進するものである。
 公庫融資を受けて建設された民間賃貸住宅は、上記以外のものを含め、平成10年度末までの累計で約100万戸となっており、平成12年度予算においては、56,000戸を計画している。
チ 農地所有者等賃貸住宅
 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給制度は大都市地域等において、農地所有者等が行う賃貸住宅の建設に要する資金の融資について国が利子補給を行うことにより、居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに水田の宅地化に資することを目的として、平成10年度までに約9万戸の建設実績をあげている。
 平成12年度においては、農地所有者等賃貸住宅5,000戸を建設する計画である。


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