(7)少子・高齢社会への対応

イ 住宅のバリアフリー化
 高齢者等の自立や介護に配慮した住宅の建設や改造を促進するため、「長寿社会対応住宅設計指針」の普及など、住宅のバリアフリー化を推進するための施策を積極的に講じている。
 住宅金融公庫においては、バリアフリー住宅の建設・購入及びバリアフリー化工事を行う住宅改良について金利の優遇及び貸付額の増額を行っている。
 公共賃貸住宅においては、公営住宅、公団住宅については平成3年度より、公社住宅については平成7年度より、バリアフリー住宅を標準仕様として供給するとともに、既存の公営住宅等についてもバリアフリー化のための改善を推進している。
ロ 福祉施策との連携
 福祉施策との連携を強化し、高齢者・障害者等の居住の安定を図り、また子育てのしやすい居住環境の整備を推進するために以下の施策を講じている。
1) シルバーハウジング・プロジェクト
 高齢者の居住の安定と社会福祉の増進を図るため、日常生活上自立可能な高齢者を対象として、高齢者の生活に配慮した設備・仕様の公共賃貸住宅を供給し、併せて、ライフサポートアドバイザーによる日常の生活指導、安否確認、緊急時における連絡等のサービスの提供を行うものであり、福祉施策との連携のもとで実施している。平成11年度末において409団地、11,897戸を管理している。
2) 公営住宅等と社会福祉施設等との一体的整備の推進
 公営住宅建替事業において、新たにデイサービスセンター、保育所等の社会福祉施設を整備する場合には、公営住宅建替事業の戸数要件を緩和し、公営住宅と社会福祉施設の併設を促進している。また平成11年度には、公営住宅等と社会福祉施設等との一体的整備により増加する費用を補助対象に加え、社会福祉施設等の合築・併設の一層の推進を図る。
3) 社会福祉法人等による公営住宅の使用
 地域において共同生活を営む障害者等の日常生活の援助を目的とするグループホーム事業を行う社会福祉法人等に対して、公営住宅を使用させることができるようにしている。
ハ 人にやさしいまちづくり事業
 長寿社会の到来、都市化の進展等に対応して、高齢者・障害者に配慮した活動空間の形成を図り、高齢者・障害者の社会参加を促進するため、市街地における高齢者・障害者の快適かつ安全な移動を確保するための動く通路、エレベーター等の移動システムの整備、高齢者・障害者の利用に配慮した建築物の整備に対する補助等を行うとともに、昇降装置付き立体横断施設、幅の広い歩道等の道路整備を一体的に行う人にやさしいまちづくり事業を推進している。
ニ 市街地再開発事業等における施策
 人の集まる中心市街地においても、高齢者・障害者等に配慮した施設の整備を行うことが必要である。このため、市街地再開発事業等により整備される建築物に社会福祉施設を導入する場合に補助の拡充を行い、中心市街地等への社会福祉施設の立地を促進しているとともに、環境負荷の低減や福祉空間の形成、さらには安全市街地の形成に関し、関連法規上の基準に適合する施設建築物を整備する等、特に公益性の高い市街地再開発事業等に対し、「再開発緊急促進事業」により国が特別の助成を行っている。
ホ 少子化対策への取組み
 少子化への対応の重要性を踏まえて、住まいづくりによる子育ての支援を推進するため、平成11年12月に策定された「少子化対策推進基本方針(少子化対策推進関係閣僚会議決定)」及び「新エンゼルプラン(大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治6大臣合意)」を踏まえ、
1)広くゆとりある住宅の取得のための住宅金融公庫融資による支援や特定優良賃貸住宅や公団賃貸住宅の供給による良質なファミリー向け賃貸住宅の供給の促進
2)公営住宅等における多子世帯等に対する優先入居の推進
3)住宅市街地整備総合支援事業等の推進による職住近接で子育てのしやすい都心居住の推進
4)公共賃貸住宅や市街地再開発事業等における住宅と保育所等の子育て支援施設の一体的整備
 などにより、ゆとりある住生活の実現を図るほか、夫婦で仕事や社会活動をしながら子育てをしやすい生活環境づくりを推進している。