(13)住宅の品質確保の促進

イ 住宅の品質確保の促進等に関する法律の制定
 住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、住宅性能表示制度と瑕疵担保責任の特例を内容とする「住宅の品質確保の促進等に関する法律」が平成11年6月に公布され、平成12年4月1日に施行された。
1) 住宅性能表示制度(平成12年秋から実施する予定)
 建設大臣が住宅の性能(構造の安定、省エネルギー、高齢者等への配慮等)の表示の基準(日本住宅性能表示基準)とその表示のための評価方法の基準(評価方法基準)を定める。建設大臣の指定を受けた者(指定住宅性能評価機関)は、申請により、評価方法基準に従って住宅の性能の評価を行い、特別なマークを付した評価書(住宅性能評価書)を交付することができる。住宅の建設工事の請負契約又は新築住宅の売買契約の際、住宅性能評価書が契約書に添付された場合等においては、請負人又は売主が契約書に反対の意思を表示している場合を除き、住宅性能評価書に表示された性能を有する住宅を引き渡すこと等を契約したものとみなされる。また、住宅の性能の評価を効率的に実施するための体制を整備する。
 建設された住宅に係る住宅性能評価書が交付された住宅について紛争が発生した場合には、建設大臣が指定する弁護士会等(指定住宅紛争処理機関)に紛争処理を申請することができる。住宅紛争処理支援センターでは、指定住宅紛争処理機関を支援するほか、住宅の取得契約についての相談、苦情等を受け付ける。
 なお、住宅性能表示制度は任意の制度であり、全ての住宅について適用されるものではない。
2) 瑕疵担保責任の特例
 住宅の新築工事の請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人又は売主は、注文者又は買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分のうち一定の部分について、瑕疵担保責任を負わなければならない。この場合の責任の内容は、修補や損害賠償等となる。ただし、その瑕疵が構造耐力又は雨水の浸入に影響のない場合や、仮設住宅等一時使用のため建設されたことが明らかな住宅については、責任を負う必要はない。
 また、前述の契約においては、住宅の全ての瑕疵について瑕疵担保期間を20年まで伸長することができる。
 なお、これらの特例の適用は、平成12年4月1日以降に締結された契約に限られる。
ロ 住宅生産・供給における品質管理体制の強化・充実
 ISO9000シリーズは、ISOにおいて1987年に制定された品質管理及び品質保証のための一連の規格であり、製品の形状や性能等に関する規格とは異なり、企業の品質システム(品質管理体制)についての要求事項を規定している。ISO9000シリーズは、全ての産業分野に適用することが可能とされているが、住宅・建設産業には他の産業にない特殊性(一品受注生産であること、生産体制が重層構造で複雑であること等)があり、住宅・建設分野の品質管理・品質保証システムの構築と、これを専門とする審査登録機関の充実が急務である。