(3)施設水準の向上

イ 災害に強い施設整備の推進
 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓を官公庁施設の整備に活かすため、建設省では、官公庁施設の地震による災害及びそれに伴う火災などの二次災害に対する安全性に関する基本的事項や施設の維持管理、既存施設の耐震診断・耐震改修における技術的基準について定めることとし、平成8年10月、「官庁施設の総合耐震計画基準」及び「官庁施設の総合耐震診断・改修基準」を制定し、各省庁、地方公共団体に通知するとともに、広く公表した。官庁施設の整備に当たっては、本基準に基づく総合的な耐震性能の確保及び既存施設の計画的な診断並びに所要の改修整備を推進する必要がある。
ロ 高齢者・障害者に配慮した施設整備の推進
 本格的高齢社会の到来を前に、高齢者・障害者を含むすべての人が自立した個人として参画できる社会の実現が求められており、社会を構成する社会資本、建築物等のさらなるバリアフリー化が重要な課題となっている。こうした状況を踏まえ、今後は、さらにきめ細かい高齢者・障害者のための施設整備を推進していく必要がある。
ハ 環境に配慮した施設整備の推進
 建築物は、その計画から建設、運用、廃棄に至るまでの各過程において常に環境に負荷を与えており、その低減には建築物のライフサイクル全体を視野に入れた対策が必要である。建設省では、官庁施設の整備に当たり、建設省「環境政策大綱」(平成6年1月)、「国の事業者・消費者としての環境保全に向けた取り組みの率先実行のための行動計画」(平成7年6月閣議決定)、「地球温暖化対策推進大綱」(平成10年6月)を踏まえ、平成10年3月に官庁営繕における地球環境保全対策の推進を目的とした「環境配慮型官庁施設(グリーン庁舎)計画指針」を策定し、これらに基づき、率先して環境保全に配慮した官庁施設の整備を推進するとともに、既存施設の環境負荷低減を図っていく必要がある。
 また、工事実施段階における再生材の活用、建築副産物の発生抑制、リサイクル及び適正処理対策を推進する必要がある。
ニ 行政情報化への対応
 近年、インターネットの爆発的な普及を始めとして社会の情報化は急速な進展を遂げており、社会・経済構造の変革をもたらしつつある。行政においても、国民の利便性の向上や行政サービスのコスト低減の観点から、電子政府の実現等の行政情報化に向けた取組みが進展しているところである。併せて情報公開法の施行に伴い増大する情報量に対応するためにも、行政の高度情報化は喫緊の課題となっている。
 こうした状況を踏まえ、官庁施設における情報の効率的・効果的な利用を実現する情報通信機能の更なる高度化に向けた施策を推進する必要がある。