(8)新しい時代に向けた施設整備の進め方
イ 位置、規模及び構造に関する基準を踏まえた技術基準類の整備
「国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模及び構造に関する基準」を踏まえ、現在運用している技術基準について、所要の見直し、再整理を引き続き行うこととしている。
また、近年の社会情勢の著しい変化に伴う多様化、高度化した行政機能に対し、官庁施設の性能や品質を柔軟かつ的確に対応させるよう、建築審議会からの答申に基づき、性能規定化した基準体系に再整理することとしている。
ロ 事業の効率化、実施過程の透明化に向けた取組み
事業の効率化と実施過程の透明性の向上に向けた取組みとして平成11年度の新規採択時に事業の評価を実施し、結果の公表を行った。平成12年度は、引き続き事業評価を実施するとともに、評価手法の改善等を行うこととしている。
また、民間活力を活用するため、設計業務等の一層の外部委託化を推進していくこととしている。
さらに、行政サービスの向上を図るため、官庁施設の利用者等の多様なニーズをより的確に施設整備に反映させるための指標として、施設利用者等の満足度を直接評価する手法の検討を行う。
ハ 総合的な品質確保とコスト縮減の推進
建設コストについては、これまでの縮減方策を踏まえ、官庁施設が本来備えるべき利便性、公平性、安全性、耐久性、環境保全、省資源、美観、文化性等の所要の機能、品質と両立させた縮減を推進する必要がある。
平成11年度は、設計VEの試行、材料・規格の共通化の検討、契約後VE、積算の合理化等を実施した。また、「公共建築工事標準仕様書」を作成し、各省庁等が共通的に規定することが妥当な材料・機材・工法等を取りまとめた。
さらに、営繕工事の適切な品質確保のため、監督・検査業務の一層の充実を図るよう、工事監理業務の役割を明確にするとともに業務内容を再整理した。
平成12年度は、こうした施策を引き続き実施するとともに、「公共建築工事標準仕様書」に基づいて「建築工事共通仕様書」等の改定を行う。また、営繕工事における一層の品質確保、発注者と受注者の責任範囲の明確化を図るよう、従来はモデル工事としていたISO9000sについて、一部工事での適用を行い、新たな品質管理システムを構築し、受注者の自主管理の推進と監督業務の効率化を図るとともに、工事監理業務の業務委託契約書や仕様書等を整備し、業務委託を推進することとしている。
ニ 技術開発の計画的推進と普及の促進
平成10年度までの営繕技術開発の成果を継承、発展させるとともに、現在の社会経済情勢を踏まえ、平成11年9月に新しい「営繕技術五箇年計画(平成11〜15年度)」を策定した。この計画では、施設整備プロセス及びストックの長期的有効活用を支えるソフト面の技術を加え、ソフト、ハードの両面から、公共建築の総合的なマネジメント技術の体系を構築し、公共建築の先導的な役割を果たしていくことを目標としている。技術開発の成果については、基準類等への反映、データベースの構築等により広く共有化を図り、公共建築整備全体への普及を促進することとしている。
また、「新技術活用促進システム」等を活用し、営繕事業において有用な新技術の情報収集、活用及び普及の促進を図っている。
ホ 各省庁、地方公共団体との連携
建築技術の進展等、営繕事務を取り巻く状況の変化の中で、営繕事業を合理的・効率的に推進するためには、省庁間の枠を越えた事業の連携の強化を行い、統一的な官庁営繕行政を実施することが必要である。建設省では、「中央官庁営繕担当課長連絡会議」及び「全国営繕主管課長会議」等を開催し、建築コスト縮減を始め、官公庁施設整備に共通する様々な課題について、各省庁、地方公共団体と連絡調整を行っている。平成12年度においても、これら関係機関との連携のもと、各種施策を展開することとしている。
また、営繕工事積算業務の合理化、効率化のために「営繕積算システム(RIBC)」を地方公共団体と共同で整備・利用するとともに、各省庁、地方公共団体等が実施する公共建築物の設計者選定における透明性・公平性の確保に資するため、「公共建築設計者情報システム(PUBDIS)」の普及に努めていくとともにさらに利便性の高い充実したシステムとするよう検討を行うこととしている。