XII 国際建設交流

1 現状と課題

 財政構造改革に伴い、今後、ODA予算の量的な拡大は見込めない状況にあり、今まで以上にODAの効率的、効果的な実施が求められている。また、開発途上国においては、増大する住宅・社会資本の整備需要及び施設管理の必要性から、独自の規格・基準の整備が必要となってきている。こうした状況を踏まえ、建設省では、所管インフラの規格・基準等の整備に対する支援を重点事項として実施している。
 開発途上国では、莫大なインフラ整備需要を自国の財政資金や援助資金で満たすことができず、インフラ不足が経済成長の足かせとなる懸念が生じている。このため、多くの国々で、国内外の民間企業の資金力、ノウハウを活かす「民活インフラ事業」への取組みが積極的に行われている。建設省も、我が国建設産業と連携しつつ、所管インフラの民活整備への支援を実施している。
 我が国に対し経済力に見合った国際貢献が引き続き強く求められている今日、建設分野全般について国際協力と国際協調にさらなる努力が必要となっている。国際協力に関する課題としては、1)規格・基準等の整備、民活インフラ整備、「国際インフラ」へのニーズの高まり、深刻化する環境問題などの諸課題への対応、2)援助対象の地域的多様化や国際貢献手段の多様化への柔軟な対応、3)開発途上国の人づくりや開発途上国への技術移転の一層の推進、4)援助に係る的確な調査と技術開発の推進、5)国際交流の推進などがある。また、国際協調については、1)地球地図構想などにおける多国間にわたる課題への取組みの積極化、2)建設市場のボーダレス化への積極的な対応として、例えば、我が国建設市場、住宅市場などの対外開放問題のための規格、基準の相互承認や国際的な標準化への的確な貢献などがあげられる。