(5)不動産特定共同事業法の施行

 不動産特定共同事業とは、事業参加者(投資家)から不動産の共有持分や金銭の出資を受けた事業者が、当該資産を基に不動産取引(不動産の賃貸、販売等)を行い、その収益を投資家に分配する事業である。このような事業は不動産小口化事業として、昭和62年頃に登場した。
 しかし、その後のバブルの崩壊により、平成3年を中心に、事業者の倒産などのトラブルが発生し、大きな社会問題となったことから、平成7年4月1日には、不動産特定共同事業の事業参加者の保護と同事業の健全な発展を図る観点から「不動産特定共同事業法」が施行された。
 しかし、近年は低迷する不動産市場を活性化するため、同事業の積極的な活用による不動産の流動化の促進が重要性を増している。同法に基づく許可業者は69社(平成12年3月末現在)を数えるまでに至っており、また同事業の一層の活用を図るため実施した規制緩和の効果もあって、法施行後の商品販売実績も、匿名組合型を中心に順調に伸びており、個人投資家向けや短期の資金回収が可能な分譲事業商品が活用されている。
 不動産特定共同事業は、今後ますます大規模化・複合化・長期化が見込まれる我が国の都市開発や都心居住住宅の供給等において、新たな資金調達の方法を提供する事業手法である。また、地権者が自分の土地を有効に活用してこれらの事業に参加する地権者参加型の事業の円滑な推進に寄与する等、土地の有効利用に資するものであり、今後とも同法の的確な運用を図るとともに、引き続き市場育成のための諸施策についても検討を行うこととしている。