2.公害・環境問題の顕在化

 高度成長期には、自動車による大気汚染、航空機や新幹線による騒音、河川や湖沼の水質汚濁等の公害が発生し、油タンカー事故や不法投棄による海洋汚染が深刻化するなど、環境問題が顕在化してきた。
 これらに対し、国土交通行政の分野においても積極的な取組みがなされてきた。その結果、大気汚染問題や騒音問題について全国的には一定の改善が見られる。しかし、大都市地域においては、大気汚染、騒音等の環境基準が達成されていない地域がいまだ多く残されている。近年におけるディーゼル車からの排出ガスへの関心の高まりなどにみられる通り、自動車のもたらす大気汚染については引き続き深刻な状況が続いている。また、下水道整備等の各種対策により、公共用水域の水質汚濁は改善しつつあるが、都市部の河川、湖沼や内湾等の閉鎖性水域の水質汚濁、河川流量の減少など水循環系に関わる様々な課題が依然として残されている。一方、タンカー事故による海洋汚染に関しては、これまで船舶の構造強化や船員の資質の向上が図られてきたところであるが、船舶の大型化等により、海難事故による甚大な海洋汚染の潜在的な危険性は依然高いといわざるを得ない。今日においては、これらの20世紀から残された課題に加え、地球温暖化問題等後述する新たな課題も加わり、環境問題の解決は国土交通行政にとって最も大きな課題の1つとなっている。


図表I-2-26 典型7公害の苦情件数
図表I-2-26 典型7公害の苦情件数



図表I-2-27 NO2環境基準の達成状況
図表I-2-27 NO2環境基準の達成状況



図表I-2-28 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値(注)の経年変化
図表I-2-28 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値の経年変化




(注)BOD75%値:例えば、月1回の測定の場合、12個のデータを小さい順に並べたときの9番目(全体の75%がこれ以下となる値)のもの。

 

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