2.都市交通円滑化のための総合的な施策

(1)都市圏交通円滑化総合計画を中心としたTDM(注)(交通需要マネジメント)の推進

 自動車交通の状況や道路交通混雑解決の処方箋は都市ごとに異なるものであるが、TDMは都市の特性に応じた措置を講ずることができる施策として期待されている。国土交通省としては統合メリットを最大限に活かして、関係省庁と連携して総合的・効果的なTDM施策の普及を推進している。
 10年度からは、通勤圏などのエリアを対象に、交通容量拡大策に加え、交通需要マネジメント及びマルチモーダル施策を組み合わせた「都市圏交通円滑化総合計画」を関係機関、自治体のほか、企業、市民等の参画を得て共同で策定し、これを推進することにより、都市圏の交通渋滞の解消・緩和、都市交通サービス向上等を図っている。特に、13年度からは、先進性・有効性・展開性を有するTDM施策を導入するため、交通需要調整策と公共交通機関利用促進策、物流効率化策等を組み合わせて行うTDM実証実験に対して、国等から補助金給付等の支援を行う制度を創設し、都市圏交通円滑化総合計画の策定に関し活用することとした。
 さらに、上記に加え、各交通機関の役割分担を明確化するなどして、それぞれの都市特性に応じ、効果的に都市交通施策を推進するため、各種調査の実施により、交通実態や都市構造についての分析を行っている。

図表II-1-30 都市圏交通円滑化総合対策
図表II-1-30 都市圏交通円滑化総合対策

<平成13年度に行われたTDM実証実験の例>

 TDM実証実験の一環として、都市部の交通渋滞緩和を目指し、乗用車をバスに乗り換えて通勤するシステムである「パーク・アンド・バスライド」の実証実験が沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)〜那覇バス(那覇市)間(10.5km)で実施された。
 この実験においては、国と地方、事業者(県内4社)が費用を負担する仕組みとなっている。
 出発地には無料の駐車場が設けられるとともに、バスレーンの確保、バス優先信号制御等によりバスの優先通行を確保するシステムであるPTPSの整備などを行い、所要時間の短縮を図る。
 1日4往復の運行が行われ、運賃は通常の路線バスより50円安く設定されている。
 今後、この実証実験の成果を踏まえ、本格導入に向けて検討が行われる。

パーク・アンド・バスライド実証実験





(注) TDM(Transportation Demand Management):都市または地域レベルの道路交通混雑を緩和するため、道路利用者の時間の変更、経路の変更、手段の変更、自動車の効率的利用、発生源の調整等により、交通需要量を調整(=交通行動の調整)する手法。

 

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