(2)不審船対策

 平成11年3月の能登半島沖不審船事案発生により、11年6月の関係閣僚会議において「能登半島沖不審船事案における教訓・反省事項について」が了承され、不審船対応は従来通り警察機関たる海上保安庁が第一に対処することとなっている。

1)高速特殊警備船等の配備
 海上保安庁では、13年2、3月に不審船を捕捉するのに十分な速力、航続距離等を有する高速特殊警備船を3隻、また、12年4月及び13年5月に夜間監視能力等を強化したヘリコプターを2機、日本海側にそれぞれ配備し、これらをはじめとする巡視船艇・航空機の勢力を最大限に活用して、不審船対応に万全を期すこととしている。

 <高速特殊警備船つるぎ、ほたか、のりくら>
高速特殊警備船つるぎ、ほたか、のりくら

2)海上保安庁法の改正
 海上保安庁における武器使用については、警察官職務執行法を準用しており、これまで不審船に対しては、威嚇射撃は認められるものの、不審船を停船させるために行う船体に向けた射撃については、人に危害が及ぶ可能性を否定できないことから事実上困難となっていた。
 そこで、適確な立入検査を実施する目的で不審船を停船させるための最終的な実力手段として行う射撃について、一定の要件に該当する事態であると認められる場合には、人に危害を与えることも許容される船体に向けた射撃を行えるよう、13年11月2日海上保安庁法を改正した。

3)九州南西海域不審船事案
 13年12月22日に発生した九州南西海域不審船事案においては、防衛庁からの通報を受け、海上保安庁の巡視船等により、不審船の追跡及び威嚇射撃を行ったが、当該不審船は逃走を続けたうえ、自動小銃及びロケットランチャーのようなもので巡視船に対し攻撃、このため、巡視船3隻が被弾、海上保安官3名が負傷した。これに対し巡視船は正当防衛として不審船に応射、その後該船は沈没した。
 当該不審船の国籍等に関しては不明であり、現在鋭意捜査中であるが、この種の事件に対しては、海上における公共の安全及び治安の維持を図るため、引き続き厳正に対処することとしている。

 

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