4.高齢者の居住の安定確保

(1)高齢者の円滑入居のための市場環境整備

 少子・高齢化の急速な進行に伴い、今後高齢者がいる世帯、とりわけ高齢者単身・夫婦のみ世帯が急速に増加することが予測される。しかしながら、高齢者の身体機能に配慮した住宅ストックは、いまだ不十分であり、特に民間借家については、大きく立ち遅れている。このため、民間活力の活用と既存ストックの有効活用を図りつつ、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現すること目指して、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」を平成13年10月に全面施行した。この法律では以下の2点を柱としている。

図表II-7-10 高齢者世帯数の推移
図表II-7-10 高齢者世帯数の推移



1)高齢者向け優良賃貸住宅の整備
 高齢者の安全で安定した居住を確保するため、民間事業者等による高齢者向け優良賃貸住宅の建設・改良に対して建設費等補助、家賃対策補助等を行うことにより、民間の土地所有者等の経営意欲を誘導しつつ、バリアフリー化された良質な賃貸住宅の供給を促進する。

図表II-7-11 高齢者向け優良賃貸住宅
図表II-7-11 高齢者向け優良賃貸住宅

2)円滑入居のための市場整備
 民間賃貸住宅管理会社の4割は、管理する受託物件の大部分につき高齢者の入居を拒んでいる(平成12年 日本賃貸住宅管理協会調査)。また、大家としても、家賃の滞納等高齢者の入居について不安な点も多い状況にある。そのため、高齢者世帯の入居を拒まない賃貸住宅の登録・閲覧制度を創設し、高齢者に対する賃貸住宅情報の提供体制を整備することと併せ、登録された賃貸住宅に入居する高齢者を対象とする滞納家賃の債務保証を高齢者居住支援センターが実施することとしている。また、バリアフリー化された賃貸住宅に高齢者が終身にわたり安心して居住できる終身建物賃貸制度が創設された。

 

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