(6)内航海運の動向と活性化策

1)輸送の動向
 内航海運の輸送動向を見ると、10年度以降12年度まで堅調に推移している。

図表II-9-11 内航海運輸送量
図表II-9-11 内航海運輸送量



2)暫定措置事業の円滑な実施
 内航海運の活性化を図るため、10年5月、暫定措置事業を導入するとともに、スクラップ・アンド・ビルト方式による船腹調整事業を解消した。暫定措置事業は、保有船舶を解撤等した者に対して一定の交付金を交付するとともに船舶建造者から納付金を納付させる等を内容とするものである。これは、競争制限的との批判が強かった船腹調整事業の解消により、事実上の経済的価値を有していた引当資格が無価値化する経済的影響を考慮したソフトランディング策であるとともに、船腹需給の適正化と競争的市場環境の整備を図る事業として実施している。これにより、事業意欲のある事業者においては、市場原理と自己責任の下、より自由な船舶の建造が可能となった。これまで3年間の暫定措置事業の実施により、油送船を除くすべての船種において船腹需給の適正化が図られてきている等一定の成果がみられている。
 また、15年4月以降、高度で安全な内航輸送システムを構築するとともに、交付金の交付期限を実質的に15年間で確定するため、船齢15年を越える船舶は交付金の対象としないこと(シンデレラ・プロジェクト)としている。このシンデレラ・プロジェクトの実施のため、13年度補正予算において資金枠及び政府保証枠が拡充された。

図表II-9-12 内航海運暫定措置事業の概要
図表II-9-12 内航海運暫定措置事業の概要

3)次世代内航海運ビジョンの策定
 内航海運を取り巻く環境は、国内景気の停滞、荷主企業の相次ぐ合併・事業提携による物流効率化の要請の高まり、地球的規模での環境保全の取組みの強化等大きく変化してきている。このような環境の変化に柔軟に対応し、内航海運が求められる役割を積極的に果たしていく観点から、海運、船舶、船員の海事分野全般にわたる「内航海運行政のあり方」について学識経験者から成る海事局長の懇談会(次世代内航海運懇談会)を開催し検討を行っている。このうち、暫定措置事業のあり方については、暫定措置事業部会において検討を行っている。なお、こうした検討の成果は、13年度内に「次世代内航海運ビジョン」として取りまとめるとともに、逐次措置することとしている。

 

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