3.造船業、舶用工業の課題と対策

(1)造船業の再構築

 世界の造船業における12年の新造船受注量は、大型外航船の代替需要期に当たること、好調な米国経済等を背景に海運市況が好調に推移したこと等から大幅に増加し、日本においても、前年比55%増の1,348万総トンで、過去30年間で最高量の受注を記録した。しかしながら、供給力過剰を背景に船価は低迷しており、世界の造船業の経営環境を圧迫している。また、今後の造船需要の伸び悩みが見込まれる一方で新興造船国の供給力は増えつつあり、近い将来、一層の競争激化が懸念される状況にある。
 日本の造船業は、40年以上にわたり世界一の建造量を維持してきたが、現在は韓国の台頭等により、厳しい競争を余儀なくされている。今後競争は一層激化する見込みであるものの、日本造船業は、過去2度にわたる造船不況に対処するため、大規模な設備処理・人員削減による構造調整を実施し、個別各社の経営資源は大幅に縮小(設備は不況前の約2分の1、人員は約3分の1)している。このため、大手造船事業者を中心に国際競争力強化に向けた経営統合等による具体的な業界再編の検討が開始されている。
 このような状況の下、国土交通省としては、再編や事業革新の促進及び円滑な実施に向け、積極的に側面支援していく必要がある。こういった観点から、産業再生特別措置法や新事業創出促進法に基づく事業再構築計画等の認定を行い、税制や商法上の特例措置等を講じていく。また、雇用対策等のセイフティーネットについても必要に応じて厚生労働省等と連携しつつ講じていく。

図表II-9-21 世界の新造船建造量の推移
図表II-9-21 世界の新造船建造量の推移



 

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