1.国際物流拠点等の機能強化のための施策

(1)海上ハイウェイネットワークの構築

 日本の国際競争力の維持・向上の観点から、ボトルネックを解消し、国際物流拠点の機能強化を図る必要がある。このため、ハード施策とソフト施策とを有機的に組み合わせることによって、海上輸送の効率性と船舶航行の安全性を両立させた海上ハイウェイネットワークを構築し、近隣の先進港湾と遜色のないレベルにまで港湾機能の向上を図っていくことにしている。

図表II-10-3 海上ハイウェイ-海から陸までスピーディー
図表II-10-3 海上ハイウェイ-海から陸までスピーディー

1)中枢・中核国際港湾等の社会資本整備
 国際海上コンテナ輸送の増大や船舶の大型化に対応して、東京湾口航路などの国際幹線航路、中枢・中核国際港湾における国際海上コンテナターミナル、多目的国際ターミナル等の整備を進め、コスト・サービスともに国際水準を視野に置いた国際物流拠点の形成を図ることにしている。国際幹線航路については、その船舶航行の安定性と安全性を確保するため、浅瀬などを撤去して湾口ボトルネックの解消と安全確保を図るとともに、自動船舶識別システム(AIS)を活用した次世代型航行支援システムや海上交通情報機構、高機能航路標識等の整備を進めている。
 また、港湾整備に関して、ITの活用などによりコンテナターミナルの能率を向上させるとともに、外貿バースに隣接した内貿フィーダーバースの整備を行うことにより、内外貨物の積み替えの円滑化を図ることにしている。さらに、増大する輸入コンテナ貨物の流通加工ニーズに対応するための施設を港湾地区に立地することを促進している。

2)港湾の24時間フルオープン化等港湾荷役の効率化・サービス向上の推進
 平成12年11月の港湾運送事業の規制緩和の実施を受け、13年4月には港運労使間で、日曜荷役の恒久的実施、祝日の平日並み夜間荷役の実施、コンテナターミナルのゲートの昼休みのオープン・終了時間の延長及び年末年始休暇の短縮(従来の12月31日〜1月4日を1月1日〜1月3日に短縮)について合意がなされた。
 国土交通省においては、港湾の24時間フルオープン化の早期実現を図るため、官民の関係者による検討委員会を設置し、諸課題についての検討を実施中であり、この検討の成果も踏まえつつ、その後も鋭意労使間協議が行われた結果、11月末には、荷役作業については元日を除く364日24時間実施すること、ゲート作業については土・日及び祝日についても平日と同様に8時半から20時まで実施することについて合意された。

図表II-10-4 港湾24時間フルオープン化の進展状況
図表II-10-4 港湾24時間フルオープン化の進展状況



3)各種手続の電子化、ワンストップサービス化(シングルウィンドウ化)
 近年、アジア諸国を含め海外主要港においては、船舶の入出港時に必要な港湾所手続のEDI化が急速に進展している。
 このような状況の中、我が国では13年度中に通関情報処理システム(Sea-NACCS)と港湾EDIシステムの接続を行うことにしている。さらに、14年中には、これらのシステムに乗員上陸許可支援システム(仮称)が連携される予定である。また、関係府省と連携して港湾関連手続の見直し、システムの開発等を行い、 15年度のできるだけ早い時期に各システムの連携によるシングルウィンドウ化を目指している。

図表II-10-5 港湾諸手続の電子化
図表II-10-5 港湾諸手続の電子化

<新大綱における目標>
目標: 平成17年度までに、船舶が入港してから貨物がコンテナヤードを出ることが可能となるまでに必要な時間を2日程度へ短縮(現状3〜4日)。

 

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