第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(都市圏によってみた将来人口の推移)

 地域的な人口動向の姿を都市の視点から見るため、全国に88の都市圏を設定し、将来人口の推計を行ってみた。ここで、都市圏とは、人口10万人以上で地域の中心としての機能を担っていると考えられる都市を核として生活や経済上関係の深い市町村のまとまりをいうものである。(都市圏の設定、推計の方法等については、補注を参照。)
 ここでは、全国を1)東京都区部及び政令指定都市の都市圏、2)その他の都市圏及び3)非都市圏に分類し、それぞれの人口の合計を平成12年(2000年)を100として指数化し、平成42年(2030年)までの人口の動きを推計した。その結果、3大都市圏及び地方ブロックの中枢都市圏である1)のグループの都市圏群では2010〜15年頃まで人口の増加を続けると見込まれるのに対し、その他の2)のグループの都市圏群では、全国の人口の動向とほぼ同様に2005年頃にはおおむね人口のピークを迎えて減少を始めるものと見込まれる。一方、これら以外の非都市圏では既に人口は減少を続けている状態にあり、2030年には現在の4分の3程度の水準まで減少していくものと予想される。

 
図表I-2-1-14 都市圏グループ別人口指数の推移(2000年=100)

全国を3つに分類して、それぞれの2000年以降の5年おきの将来推計人口の合計を2000年を100として指数化すると、東京都区部及び政令指定都市の都市圏群では2020年まで2000年ベースを割り込まないが、その他の都市圏群では2010年には早くも2000年ベースを割り込み、非都市圏は既に人口の減少が始まっているため2000年ベースを年々大きく割り込んでいく。
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 このような将来推計は、都市圏ごとに生存率、出生率等について一定の仮定を置いて計算されたものであり、しかもグラフに示されているものは各グループ内の平均的な姿であって、個々の都市圏の動きは、それぞれ相当程度異なっていることに注意が必要であるが、この結果からあえて一般的な傾向を読み取ろうとすれば、今後、総人口が減少局面に入っていく中で、当分の間、地方ブロックの中枢都市以上の大都市圏域では人口のゆるやかな集中が続く一方、その他の中小都市圏域では人口がまもなく減少過程に入っていき、また、非都市圏域では従来に引き続き急速な人口減少を続けていくという姿を描くことができるものと考えられる。
 なお、主要な都市圏の動向について個別にみてみると、東京都市圏において2015年頃まで人口が増加(ピーク時の指数約104)を続けると予想されるほか、福岡市都市圏(2020年頃に指数約106でピーク)や仙台市都市圏(2015年頃に指数約104でピーク)、札幌市都市圏(2010〜15年頃に指数約103でピーク)の成長の度合いが比較的大きいものと見込まれる。

 

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