第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(通勤・通学環境の変化)

 高度成長期以降、三大都市圏をはじめとする都市への人口集中に伴い、都市圏での通勤通学客が急速に増加した。また、都市への機能集中や人口の増加に伴って、居住地は徐々に郊外に拡大し、その結果、通勤時間も増加した。さらに、学生数の大幅な増加や教育ニーズの多様化等により、比較的遠距離にある学校へ通学する学生数が増加し、都市圏の通勤通学混雑に拍車をかけることとなった。
 このため、大都市圏を中心に、鉄道を始めとした交通網の整備や輸送力の増強が行われてきたが、依然として鉄道等の公共交通機関には、朝夕を中心に激しい混雑が発生しており、三大都市圏の主要区間についてみると、一日に輸送する鉄道旅客数のうち、全体のほぼ3割を最混雑1時間で輸送している状況にある。
 しかしながら、平成12年度の調査では、首都圏でも、以前に比べて通勤・通学定期券利用者の減少や通勤・通学時間の短縮がみられる。今後の就労人口や学生数の減少、勤務時間の柔軟化や職住近接の進展等によって、長期的には、現在のように朝夕に通勤通学客が極端に集中することによる激しい混雑はある程度緩和され、ゆとりある通勤通学の実現が期待される。
 一方、大都市圏や地方都市内における高齢者の割合の増加や職住近接等により、公共交通の分野においても、都市内における移動手段の多様化や使いやすさがこれまで以上に求められることになろう。

 
図表I-2-4-6 三大都市圏における最混雑1時間の輸送人員割合の推移

平成11年において、最混雑1時間に、首都圏と中京圏では27%、京阪神圏では26%の輸送人員割合となっており、首都圏と中京圏は近年その割合が低下傾向にある。
Excel形式のファイルはこちら


 
図表I-2-4-7 三大都市圏の通勤・通学定期券利用者数の推移

東京圏、中京圏、近畿圏の通勤通学定期券利用者は、昭和60年から平成2年にかけていずれも増加しているが、平成7年から平成12年にかけては、いずれも減少している。
Excel形式のファイルはこちら


 
図表I-2-4-8 三大都市圏の通勤・通学所要時間

5年おきのデータを見ると、首都圏、中京圏、近畿圏ともに平成7年までは増加しており、平成12年には減少しているが、所要時間はどれも1時間を超えている。
Excel形式のファイルはこちら


 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む