第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(都市郊外部のニュータウンの抱える課題)

 都市郊外部における大規模ニュータウンは、高度経済成長に伴う大都市圏への大量の人口流入を受け入れることにより経済社会の発展を支えるとともに、質の高い住宅・街づくりを先導する役割を果たしてきた。
 しかしながら、大規模ニュータウンの中には、開発時に同世代の者が一斉に入居したことによって居住世代に偏りがあり、高齢化と子供世代の流出による人口の減少が急激に進行しているものがみられる。例えば、大規模ニュータウンの中でも早い時期に開発が行われた大阪府の千里ニュータウンでは、人口65歳以上の高齢者の比率が大阪府全体の15.7%を大きく上回る21.0%に達し、また全体の人口規模もピーク時(昭和50年)の12.9万人から平成13年には9.4万人まで減少している。同ニュータウンの年齢構成を大阪府全体のものと比べてみると、60歳以上のすべての年齢層でその構成割合が著しく高くなっている一方、59歳以下のすべての年齢層の構成割合は低くなっている。

 
図表I-3-3-11 千里ニュータウンの人口の推移

50年度まで増大し、12.9万人に達するが、その後減少し、平成13年度は9.4万人である。
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図表I-3-3-12 年齢別人口構成(千里ニュータウンと大阪府)

千里ニュータウンと大阪府の年齢別人口構成比を5歳毎に比較すると、59歳以下までは大阪府の方が高いが、60歳以上は千里ニュータウンの方が高い。
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 高齢化の問題のほかにも、住宅・施設の老朽化・陳腐化も顕在化してきており、また、商業施設の遊休化や廃校等による不要な公共施設の存在等による地域の活力低下や、居住者の高齢化に対応したバリアフリー化がなされていないなどの課題も生じている。
 一方、開発が比較的新しく始まった後発のニュータウン地域においては、開発圧力の低下や都心回帰の傾向等により、開発整備そのものの停滞も見られる。

 

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