第II部 国土交通行政の動向 

(2)関連法制の改正

 都市再生特別措置法の制定以外にも、民間の創意工夫を活かし、都市開発事業の円滑な推進を図っていく観点から、都市開発事業や土地利用規制に関連する法制の整備が行われた。

1)都市再開発法等の一部改正
 民間の活力を都市の再開発に積極的に活かし、その推進を図るため、都市再開発法、土地区画整理法等について、以下のような改正が行われ、平成14年6月に施行されたところである。
・市街地再開発事業の施行者に、ノウハウと資力・信用を有する民間事業者が、地権者の参画を得て設立する株式会社又は有限会社(再開発会社)を追加する。(都市再開発法)
・高度利用を図るべき地区をその施行地区に含んだ土地区画整理事業の事業計画において高度利用推進区を定め、土地の高度利用を図る意欲のある土地の所有者等が、その申出に基づいて当該地区に集約的に換地を受けることができることとする。(土地区画整理法)
・民間都市開発推進機構が土地を取得し、民間による都市開発事業の立ち上げを支援する業務について、事業見込地等の取得期限を3年間延長する。(民間都市開発の推進に関する特別措置法)

 
図表II-2-1-4 土地区画整理法の一部改正の概要

高度利用を望む地権者が散在している場合は、従来の事業では、それぞれ個別利用され、魅力的なビルが建設できない。高度利用推進区の活用で、高度利用を望む者の土地を集約換地し、地権者と街の双方にとって魅力的な高度利用を実現し、高度利用推進区内の高度利用を望まない者の土地は、施行地区内の高度利用推進区外に換地される。

2)建築基準法等の一部改正
 近年、地域住民等のまちづくりへの参加意欲が高まってきており、身近なまちづくりを進めていくためには、こうした地域住民等の意欲を受け止め、その取組みを促進することが重要となってきている。また、国民生活や経済活動の場としての建築物について、国民の要望は多様化、高度化しており、経済社会の変化や社会の要請に対応した建築制限が求められている。
 このような状況を踏まえ、居住環境の改善、適正な土地利用の促進等に資する合理的かつ機動的な建築・都市計画制限を行うこと等ができるようにするため、建築基準法等の一部を改正する法律が、平成14年7月に成立し、以下の内容に係る部分については、15年1月に施行されたところである。
・土地所有者、まちづくり協議会、まちづくりNPO等が、一定の面積以上の一体的な区域について、土地所有者等の3分の2以上の同意を得て、都市計画の提案ができることとする。(都市計画法)
・地域ごとのまちづくりの多様な課題に適切に対応できるようにするため、容積率制限、建ぺい率制限、日影制限等の選択肢の拡充を行う。(建築基準法・都市計画法)
・建築確認の手続で一定の住宅系建築物について容積率制限を緩和する制度及び斜線制限と同程度以上の採光等を確保する建築物について斜線制限を適用しない制度を導入する。(建築基準法)
・複数棟からなる開発プロジェクトを円滑・迅速に実現するため、総合設計制度と一団地認定制度の手続を一本化する。(建築基準法)
・従前の地区計画制度を整理・合理化し、1つの地区計画で、地区の特性に応じて用途制限、容積率制限等を緩和・強化できる、分かりやすく、使いやすい制度とする。(都市計画法・建築基準法)

 
図表II-2-1-5 建築基準法等の一部を改正する法律の概要

商業・業務地の高度利用、都心居住の促進、密集市街地の建替え促進及びミニ開発の防止といった多様な課題に対し、都市計画等で定める選択肢の拡充を行う。例えば、容積率制限については、中高層住居専用地域における従来300%までの選択肢に400%、500%、商業地域における従来1000%までの選択肢に1100%、1200%、1300%の選択肢をを追加する。建ぺい率制限については、第一種住居地域等における従来60%のみの選択肢に50%、80%の選択肢を追加する。敷地規模制限については、従来低層住居専用地域のみ適用が可能であったところを全用途地域で適用を可能とする。日影制限については、低層住居専用地域以外では日影測定面の高さを、2階の窓を想定した4メートルのみであったところに、3階の窓を想定した6.5メートルの選択肢を追加する。容積率制限等を迅速に緩和する制度の導入として、一定規模以上の敷地で、道路側を中心に一定規模以上の空地が確保されている場合は、指定容積率の1.5倍以下で、住宅の割合に応じて算定した数値以内で容積率制限の緩和を行い、間口を絞って採光等を確保した場合、道路斜線制限を適用除外とする。

 

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