第II部 国土交通行政の動向 

(4)民間都市開発投資を支える基盤整備

 民間の都市開発事業を推進するためには、道路、下水道、公園、港湾など当該事業を支える基盤の整備が必要不可欠である。このため、国土交通省においては、以下のような取組みを通じて、民間都市開発投資を支える基盤の整備に努めているところである。

1)民間投資誘発効果の高い都市計画道路の緊急整備
 市街地における都市計画道路の整備は、沿道の建替え等を誘発することで、都市再生に大きな役割を果たすが、そうした誘発効果等の見込める都市内の道路整備を重点的に推進している。また、相当程度事業が進捗し、残事業費が少額となっている路線で、地方公共団体(事業主体)が一定期間内に完了させることとして公表した路線(完了期間宣言路線)について重点的な支援を行い、既投資額も含め事業効果の早期発現を図ることとしている。平成14年には、放射第25号(東京都)等28路線が公表されている。
 さらに、優良な民間都市開発を行う事業者からの要請に応えて弾力的な事業区間を設定することで、民間事業にタイミングを合わせた整備を機動的・重点的に行うこととしているところである。

2)公共用地の円滑な取得
 こうした社会資本整備や再開発事業等を進めるためには、事業用地の確保が必要であることから、公有地の拡大の推進に関する法律による土地の先買い制度や国庫債務負担行為、特定公共用地等先行取得資金融資制度の活用による用地の先行取得等を推進しているところである。
 また、平成14年度の税制改正により、一定の期限内に土地収用法に基づく仲裁の申請がなされた場合は、5,000万円の特別控除の適用対象となり、補償金額のみが用地取得のあい路となっている事案の早期解決に資するものと考えられる。

3)都市再生プロジェクト事業推進費
 平成14年度予算において、都市再生本部が決定する都市再生プロジェクトのほか、都市再生緊急整備地域における公共施設等の整備、全国都市再生のための緊急措置等の円滑な推進を図るため、都市再生プロジェクト事業推進費が設けられたところである。この推進費は、上記事業等を円滑に進める上で必要となる各種調査や具体的な関係事業に対して配分が行われるものである。

4)都市部における国土調査
 都市再生を推進していくためには、土地の流動化の促進・有効利用を図る必要があり、その基礎となる国土調査、とりわけ地籍調査の重要性は増している。しかし、地籍調査については、全調査対象面積の45%、都市部においてはわずか18%の進捗率にとどまっている。平成12年5月に閣議決定された第5次国土調査事業十箇年計画に基づき、地籍調査を積極的に促進し、土地取引の円滑化や公共事業実施の円滑化を図り、民間都市開発のボトルネック解消につなげることが必要である。
 同計画の促進方策の一つとして、都市部も対象として外部の専門技術者を活用した地籍調査を導入しているが、特に都市部については、外部の専門技術者をより一層活用した市街地緊急地籍調査事業や土地区画整理事業等の測量成果等を活用する都市整備連携地籍調査事業等の都市再生地籍調査事業を14年度に創設し、地籍調査の積極的な推進を図っている。
 また、大都市圏を中心として、地下の適正な利用及び保全計画の樹立等の基礎資料を整備するため、地質状況等について調査する土地分類基本調査(垂直調査)を実施している。

5)大深度地下の利用
 「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」に基づく三大都市圏での鉄道、道路、河川、電気、ガス、上下水道等の公共性の高い事業の円滑な実施のため、平成14年度には、「大深度地下利用に関する技術開発ビジョン」を公表したほか、大深度地下情報システムの整備等の環境整備を進めている。

 

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