第II部 国土交通行政の動向 

第4節 良好な都市環境の構築

1.ゴミゼロ型都市への再構築

 平成13年6月に都市再生プロジェクト第一次決定により「大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築」が位置付けられた。本プロジェクトは、大都市圏において、廃棄物の発生抑制、資源としての再使用、再利用を進め、資源循環の「環」を形成することにより、ゴミゼロ型都市への再構築を行うものである。これを受け設置された首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会において14年4月に「東京圏におけるゴミゼロ型都市への構築に向けて」を取りまとめた。また、同年7月には京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会を設置し、検討を進めているところである。国土交通分野においては、特に大量に排出されている建設廃棄物について、排出抑制・リサイクルの取組みを強化することや、リサイクル市場の拡大にともない静脈系の物流を十分に考慮した静脈物流システムの構築が必要となっている。
 建設廃棄物については、首都圏において、今後、昭和40年代以降に急増した建築物が更新期を迎えるため、その解体に伴い、がれき類、混合廃棄物等が急増する見込みである。このため、建築物の長寿命化対策や建設リサイクル法による分別解体・再資源化等を推進するとともに、リサイクルされた再生品の市場拡大を図るため、工事発注者・排出業者・処理業者間において処理施設の稼動状況や再生資源の供給場所・量等に関するリアルタイムな情報を交換する建設副産物情報交換システムの活用等によるリサイクルルートの確保に努める。また、再資源化が遅れている小口・少量の建設廃棄物の効率的な分別、収集・運搬のために建設廃棄物の共同集配システムの実証実験を東京圏において実施した。

 
図表II-2-4-1 建設副産物情報交換システムの概要

建設副産物情報交換システムでは、排出事業者は、施設情報の検索や建設副産物排出計画・実績情報の登録を行い、処理業者は建設副産物排出実績情報の検索、施設情報の登録・更新を行い、工事発注者は施設情報の検索、実績情報の確認を行うことができる。

 
図表II-2-4-2 建設廃棄物の共同集配システム

各工事現場で、建設廃棄物をコンテナに分別する。このコンテナはバーコードが付され、それぞれ廃棄物の種類、運搬車への積込み場所・日時、重量に関する情報が入力されている。各コンテナを運ぶ運搬車はGPSで運行管理され、複数の建設現場を効率的に巡回回収できる。巡回回収されたコンテナは、共同集配場に集積し、品目ごとに仕分けされる。仕分けされたコンテナは、まとまった量になった段階で再資源化施設へ集約配送される。これらのコンテナ、運搬車に関する情報は管理センターで集中管理されている。

 さらに、廃棄物の最終処分場の確保等について、内陸での最終処分場の確保がますます困難となっているため、港湾整備事業で廃棄物海面処分場の整備を引続き推進する。また、廃棄物海面処分場の延命化及び埋立後の造成地の高度利用に向け、埋立に用いる廃棄物等の減量化のための施設整備について、平成14年7月に民間能力を活用して推進するための民活法の一部改正を行った。

 
図表II-2-4-3 廃棄物等減量化施設

埋め立てる廃棄物を減量化施設で大幅に減量することにより、海面処分場の延命化が可能となる。

 廃棄物の輸送については、従来、少量・短距離輸送が主流であったが、今後、リサイクル対象品目の増加等によるリサイクルの進展等により、輸送の大量化・中長距離化が進むものと予想される。一方、この種の貨物は運賃負担力が弱いことなどもあって、リサイクルの進展に伴う輸送の拡大により大量の自動車輸送が生じることも予想される。特に東京圏においては、既に、交通公害、交通渋滞が極めて深刻な状況になっているだけに、大気汚染防止や地球温暖化防止、交通の円滑化の観点等も踏まえて、環境負荷・交通負荷の小さい物流体系を構築していくことが必要である。このため、14年度に東京圏において、具体的な拠点形成に対応した静脈物流システムの構築のための実態把握、ネットワーク、施設整備等の諸課題についての調査を実施する。

 

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