第II部 国土交通行政の動向 

(1)大都市圏における貴重な自然環境の保全・再生

 都市再生プロジェクト第三次決定に基づき、まず、首都圏において、「水と緑のネットワーク」の構築に向けて、「まとまりのある自然環境の保全」の具体的な推進を目的として、国土交通省、農林水産省、環境省及び首都圏の都県市からなる「自然環境の総点検等に関する協議会」が平成14年3月に設置された。協議会では首都圏における現在の自然環境を総点検し、学識経験者からなる研究会での議論も経て、14年7月には、中間とりまとめを行い、25箇所のゾーン及び河川を保全すべき自然環境として抽出した。
 抽出された保全すべき自然環境は、市街地にあたかもくさびが張り出すような形で残されているが、これらくさび状の緑地などの自然環境を保全し、これを核として首都圏の自然環境を再生、創出していくことが重要である。

 
図表II-2-4-4 首都圏の保全すべき自然環境

保全すべき自然環境として抽出されたゾーン及び河川は、三浦半島ゾーン、多摩丘陵ゾーン、多摩の森林ゾーン、荒川・江川ゾーン、利根川・牛久沼ゾーン、印旛沼ゾーンなど25ゾーンや、多摩川、荒川、利根川等がある。

 現在、この保全すべき自然環境のうち、三浦半島ゾーン、多摩丘陵ゾーン、荒川・江川ゾーン、三富新田ゾーン、見沼田圃・安行ゾーン、東千葉の台地ゾーンの6地域について関係する国の機関や都県市などで構成されるワーキンググループを設け、関係者が協働して具体的な施策を検討するとともに、「水と緑のネットワーク」構築の観点から関係機関が共通の認識の下に、保全、再生、創出すべき自然環境の計画的な整備などを実施するための首都圏における都市環境インフラのグランドデザインを検討している。
 今後は、これらの検討を進め、近郊緑地保全区域の新たな指定や、首都圏の自然環境に関する総合的なデータの整備、自然環境を効果的に保全、再生、創出するために用いる首都圏環境シミュレーション手法の構築などに取り組むことで、広域的視点に基づく「水と緑のネットワーク」の構築を推進していく。

 

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