第II部 国土交通行政の動向 

(3)都市内物流の効率化

 都市内物流の分野においては、トラック輸送の定時性及び速達性を改善し、物流サービスの向上を図る必要がある。このためには、都市内物流の渋滞問題への対策等が喫緊の課題となる。さらに、渋滞の緩和により都市内の平均走行速度が向上すると、NOx(窒素酸化物)やSPM(浮遊粒子状物質)等の大気汚染原因物質や温暖化ガスである二酸化炭素の排出量を削減することが可能であるため、環境問題という側面から見ても、渋滞対策は非常に重要な施策の一つであると言える。
 このため、国土交通省では、インフラ整備によりボトルネック解消を図るとともに、関係省庁と連携して交通需要マネジメント(TDM)施策を行う等のソフト面での施策を併せて推進している。
 具体的には、大都市圏を通過する交通を迂回させる環状道路やバイパス等の整備や踏切道の改良等のボトルネック対策などのインフラ整備を着実に進め、平成14年度末までに主要渋滞ポイント1,000箇所を解消・緩和する見込みである。
 ソフト面では、貨物自動車運送事業の魅力を高めて自営転換(自家用トラックから輸送効率の良い営業用トラックへの利用転換を行うこと)を進め、積載効率を向上することを目的とし、共同集配事業を促進するための施設強化や実証実験を行っている。14年2月には、関係省庁、地方公共団体、民間事業者等と連携した、交通需要マネジメント(TDM)実証実験の制度を活用し、千代田区丸の内において低公害車を用いた共同配送事業を行った。
 また、都市機能の維持及び増進に寄与するため、「流通業務市街地の整備に関する法律」に基づき流通業務市街地の整備を推進している。これまでに22都市において「流通業務施設の整備に関する基本方針」が定められており、これに基づき28箇所の流通業務市街地が整備されている(うち22箇所が稼動中)。
 さらに、地方公共団体の駐車場附置義務条例に荷捌き施設を位置付けるよう促してきており、14年3月現在で21都市において、一定の商業施設等への荷捌き施設の設置義務付けを内容とする条例の改正が実施されている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む