第II部 国土交通行政の動向 

(6)建設機械の現状と建設生産技術対策

 我が国における建設機械購入台数は、リース業が全体の41%、建設業者が35%(平成11年度)となっている。また主要建設機械の推定保有台数は約1,202千台(11年度末)となっている(注)。賃貸(リース・レンタル)用建設機械の購入比率は増加しており、その適正な整備・管理を行うことによる建設事業の品質確保に果たす役割や賃貸価格の建設コストに与える影響も大きくなっている。建設機械の相互利用等を促進し、その稼働率向上によるコスト縮減を図ることを目的に賃貸用建設機械に関する情報ネットワークについて、全国展開に向けた課題抽出やシステム改良、導入の検討が行われている。
 また、建設機械の一部をエネルギー需給構造改革投資促進税制(エネ革税制)等の特例措置の対象とし、中小企業者に対する省エネルギー性能に優れた建設機械等の普及を促進している。また、排出ガスや騒音・振動を低減できる環境対策型建設機械の普及を促進するため、中小建設業者に対する低利融資制度を設けている。
 建設の施工段階で扱う情報を、設計から維持管理に至るあらゆるプロセスにわたって利活用することで、全体的な生産プロセスを合理化する情報化施工を推進するため、各種施工情報の共通プラットフォーム(データ形式、通信プロトコルなど)の構築等を行う。また、工事現場で発生する労務管理、機械管理等に関する多量の現場情報を処理するため、建設ICカードについて官民で活用を進めている。
 建設機械施工技術者の技術力確保のため、建設業法に基づく資格である建設機械施工技士があり、平成13年までに1級・2級合計約130千人が取得している。このほか、日進月歩の施工技術に対応した管理、指導的役割を担う技術者を確保するため、2級建設機械施工技術研修を実施している。さらに、建設機械施工分野における外国人研修生を対象として、技能実習成果の評価のための試験制度を実施している。
 また、近年、建設機械の技術進歩による操作の複雑化や小型化による重心位置の変化等により事故原因が変化しており、建設業にかかる死亡災害のうち、建設機械等によるものは20%以上を占めている状態が依然として続いている。このため、従前からの取り組みである「建設機械施工安全技術指針」に基づく建設機械施工の安全対策のほかに、14年度には、発注者・受注者(請負者、専門工事業者、オペレータ等)が共通の認識に基づいて安全管理が実施できることを目的とした「建設機械施工安全マニュアル(案)」を作成することとしている。



(注) 油圧ショベル約848千台、車輪式トラクタショベル約164千台、ブルドーザ約88千台

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む