第II部 国土交通行政の動向 

(5)専門工事業、建設関連業等の経営基盤の強化

1)下請セーフティネット債務保証事業
 中小・中堅建設業者の担保力・信用力を補完し、工事途中での資金不足の発生等を防ぎ、さらに下請代金の支払いの適正化を図るため、下請セーフティネット債務保証事業を行っている。平成14年度補正予算により、債務保証対象工事を従来の公共工事だけでなく、社会全体の効用を高める施設に関する民間工事まで拡充するため、保証総枠の拡充を実施した。また、14年12月には国土交通省直轄工事において対象工事を拡大する制度改正を行った。14年12月現在、債務保証枠は26都府県で合計1,166億円(対前年比+226億円)が設定されている。

2)中小建設業等
 中小・中堅建設業者による、経営力・施工力の強化のための経常建設共同企業体の活用を促進している。また、中小建設業者等の組織化、事業の共同化を推進しており、平成14年度には事業協同組合等の共同事業の活性化やイノベーション活動を促進する(注)
 さらに、政府系中小企業金融機関の融資制度等により中小建設業者の事業資金の円滑な供給を図っている。
 このほか、企業連携によるリフォーム分野、環境分野、福祉分野等の新市場開拓についての研究および情報の提供など、中小建設業者のイノベーション活動を促進している。

 
図表II-5-6-15 中小建設業への融資実績(平成13年度)

平成13年度における中小建設業への融資実績は、中小企業金融公庫で融資残高5,336億円、全体の7.1パーセント、国民生活金融公庫で融資残高1兆3,175億円、全体の15.8パーセント、商工組合中央金庫で融資残高3,521億円、全体の3.3パーセントとなっている。以上の機関において、前年割れの規模となっている。また、平成13年度における信用保証協会による中小建設業への債務保証は、保証許諾件数で359,161件、保証許諾額で全産業の26.1パーセントを占める3兆4,538億円となっている。
Excel形式のファイルはこちら


3)専門工事業
 優勝劣敗・淘汰の時代を迎えた専門工事業者が、依存体質から脱却して自立した企業を目指すよう、専門工事業イノベーション戦略を提示し、自己改革の道しるべとしている。また、専門工事業者が自らの施工力、経営力及び財務力を適正に把握し評価するための指標として、専門工事業者企業力指標(ステップアップ指標)の活用を促進している。
 躯体工事業者、仕上工事業者、設備工事業者、建設関連業者等の各団体の指導を行うとともに、専門工事業団体及び建設関連業団体からなる(社)建設産業専門団体連合会と定期的に情報・意見交換を行い、専門工事業者団体等の育成に努めている。

4)建設関連業(測量業、建設コンサルタント、地質調査業)
 技術力と人材を経営資源とする知的産業である建設関連業は、建設投資の伸びが期待できない中、厳しい環境に直面しており、こうした現状を踏まえ、建設関連業展開戦略研究会において、平成14年6月に「建設関連業展開戦略」がとりまとめられた。この中で、個々の企業が経営戦略実現のために取り組むべき具体的方策として、「社会資本整備を支える技術力の確保・向上」、「市場環境の変化に対応するための経営力の強化」等が求められる一方、行政において取り組むべき課題として、「不誠実な行為の排除方策」等が示された。国土交通省としても適正な競争が行われる環境の整備を支援する観点から、引き続き検討を進めることとしている。



(注)建設業の事業協同組合:4,833組合、協業組合:46組合、企業組合:128組合

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む