第II部 国土交通行政の動向 

3.海賊対策

 近年、世界の海賊事件の発生件数は増加傾向にあり、その半数以上が東南アジア周辺海域に集中している。また、件数の増加とともに海賊の武装化・組織化も進んでおり、海上輸送路をマラッカ海峡を含む東南アジア周辺海域に大きく依存している我が国海運界にとっても深刻な脅威となっている。
 この凶悪かつ組織化する海賊行為に対処するため、平成12年4月に開催された海賊対策国際会議において採択された「アジア海賊対策チャレンジ2000」に基づき、14年3月には、海上保安庁の積極的支援により、インドネシアにおいてアジアの14ヶ国・地域の海上警備機関が参加する海賊対策専門家会合が開催され、海賊に関する日常的な情報交換について合意された。さらに、東南アジア周辺海域沿岸国へ巡視船等を派遣し、海賊対策連携訓練等を実施したほか、所要のしょう戒活動を行った。この他、海上保安大学校への留学生の受け入れ、海上警備機関職員を招へいしての海上犯罪取締り研修の開催等を実施するなど、各国の海上警備機関との連携・協力の強化に努めた。
 また、国土交通省は同会議において採択された「海賊対策モデルアクションプラン」に基づき、日本関係船舶に対する効果的な自主警備対策の推進、沿岸国の緊急通報先リストの作成・周知を柱とした官民の緊急情報伝達体制を整備するとともに、国土交通省等の官側関係者及び日本船主協会等の民間関係者からなる官民連絡会議を随時開催し、我が国全体としての取組みを一体的に推進している。
 加えて、14年3月には、東京において、アジアの15ヶ国の海事政策当局及び民間の関係者、国際海事機関並びに国際商業会議所国際海事局の関係者の参加を得て、海賊対策に関する「海事政策当局等による専門家会合」を開催し、各国における取組み状況の報告、各国が協力して取り組むべき具体的対策等について検討を行った。そのほか、14年7月に、東京において、アジアから16ヶ国の参加を得て、「アジア海賊対策地域協力協定(仮称)」の作成交渉を開始した。

 
図表II-6-1-2 日本関係船舶にかかる海賊及び船舶に対する武装強盗事件等

1994年から2001年までの日本関係船舶にかかる海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の発生場所は、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ブルネイ沿岸などとなっている。

 
図表II-6-1-3 最近の海賊及び船舶に対する武装強盗事件等の発生状況

最近の海賊及び船舶に対する武装強盗事件は、東アジアでもっとも多く、年間100件を超えており、続いてインド洋、アフリカ、中南米となっている。2001年では、合計370件発生した。
Excel形式のファイルはこちら


 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む