第II部 国土交通行政の動向 

(2)河川水量の回復のための取組み

 良好な河川環境の保全には、豊かな河川水量の確保が必要である。このため、河川整備の計画等において、動植物の生息・生育環境、景観、水質等を踏まえた必要流量を定め、この確保に努めているほか、水力発電所のダムの下流では、取水地点から下流へより多くの流量を放流する取組みを進めている。また、洪水調節に支障を及ぼさない範囲で洪水調節容量の一部をダム下流の河川環境の保全・改善の容量として有効に活用するダムの弾力的管理を、14年度は全国の20ダムにおいて実施している。
○信濃川中流域では、平成13年度に引き続き全国に先駆けて、水利権の許可期限到来に先立って、夏期の水温上昇の防止、秋期のサケの遡上に配慮した維持流量の増量を行う試験放流を実施している。
○岐阜県神通川水系の小鳥川ダムの副ダムに流入する月ヶ瀬谷の取水堰堤において、全国で初めて、自然流況に近い放流(堰堤への流入量の約5割)を実施している。
○石川県手取川の手取川ダム、宮城県名取川の釜房ダムでは、需要の発生していない既存ダム容量を活用した放流により、下流で著しく流量の減少する区間の環境改善を図っている。
 一方、平常時の自然流量が減少した都市内河川には、下水処理場の処理水を送水し、河川流量の回復に取り組んでいる。

 

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