第II部 国土交通行政の動向 

(3)水質の調査と水質事故対応

 水道等の水源として、また、良好な水環境を保全・回復する上で水質の改善を求める声は強く、河川・湖沼・ダム・貯水池の水質の調査・監視はますます重要になっている。直近調査(平成13年分)では、109水系の1,093地点(約10kmに1地点の割合)を調査し、結果を公表している。
・BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量):調査地点の83%が環境基準を満足しており、長期的には、着実に水質が改善傾向にある。
・大都市部の河川:依然として汚濁の著しい河川もあり、湖沼等の水質もほぼ横ばい、ないし悪化傾向を示している。
・人の健康の保護に関する環境基準項目:砒素など26項目については若干の地点を除き環境基準を満たしている。
・要監視項目:要監視22項目のうち指針値が設定されている19項目については、すべて指針値を満たしている。

 
図表II-7-5-3 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値(注)の経年変化

水の中の微生物がよごれを分解するときには酸素が使われる。よごれが多いと使われる酸素量も多くなる。この酸素量を表したものをBOD(生物化学的酸素要求量)という。一般に、BODの値が5ppm以下をきれいな水としている。例えば、綾瀬川(手代橋)では、1972年には96ppmだったが、1987年には26ppm、2001年には11ppmまで減少している。
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 また、環境省と連携して、小中高生等一般の方々に参加してもらい(平成13年度は87,450人)、トビケラ、サワガニ等、水質の指標となる水生生物の生息状況を調査している。
 一方、油類や化学物質の流出等により生じる河川の水質事故は、平成13年に一級水系で794件発生しており、河川利用者の水質への関心の高まりや情報連絡体制の充実等を背景として、年々事故件数が増加する傾向にある。なお、「水質汚濁防止連絡協議会」を全国の109水系のすべてに設立し、事故発生時の速やかな通報・連絡、オイルフェンスの設置等被害の拡大防止に努めている。



(注)例えば、月1回の測定の場合、12個のデータを小さい順に並べたときの9番目(全体の75%がこれ以下となる値)のもの

 

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