第II部 国土交通行政の動向 

(2) 船底塗料問題への対応

 トリブチルスズ(TBT)等の有機スズ化合物を含む船底防汚塗料が海水中から検出されていることから、海洋生物や人の健康に及ぼす影響が懸念されており、我が国では90年代初頭より世界に先がけて国内造船所で建造又は修理する船舶への有害な船底防汚塗料の新たな塗布を中止してきた。その後、海水中の濃度は大幅に改善されたものの、依然として微量の検出が確認されている。これは我が国に入港する外国船舶に起因するものと考えられており、国土交通省としては、有害な塗料等を用いた防汚方法を世界的に撲滅すべく、新たな国際条約の策定に向け積極的に取り組んできた。その結果、平成13年10月、IMOにおいて「2001年の船舶の有害な防汚方法の規制に関する国際条約(AFS条約)」が採択された。現在、国内法制化に向けて作業を進めており、同条約の締結を行うことによって、早期発効を目指すこととしている。
 また、海上保安庁では海水中に溶け出した有機スズ化合物の海洋環境における濃度レベルの推移を監視するため、船舶が輻輳する主要湾域において海底堆積物中の有機スズ化合物の調査を実施している。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む