第II部 国土交通行政の動向 

第7節 海洋汚染の防止

(1) 大規模油汚染対策

 近年の大規模油汚染の背景には、海上安全・海洋環境保全に関する条約等の基準を満たさない船舶(サブスタンダード船)の存在が大きな要因の一つであることがクローズアップされており、これを排除していくために、国際的船舶データベース(EQUASIS)の構築などの国際的な取組みに積極的に参加するとともに、日本に寄港する船舶に対して立ち入り検査を行い、基準を満たしているかどうかを確認するポートステートコントロール(PSC)の強化を行っているところである。
 また、平成14年1月の「交通に関する大臣会合」の中で、IMOを通じた国際的な協調、具体的な行動計画の実施、旗国・寄港国・海事産業界の連携という3つの視点から総合的な対策が必要であるとの認識の下、「海洋汚染の防止」に関する大臣共同声明とともに7項目のアクションプランが採択された。このうち、特に旗国に対するIMO監査制度(モデル監査スキーム)の創設については、我が国は、IMOにおいて関係国とともに共同提案を行う等、関係国との間で協調しつつさらなる取組みを進めている。
 さらに、日本周辺において大規模油流出事故が発生した場合に備えて、事故発生後直ちに現場に到着し、迅速に油回収ができるような体制作りが必要である。このため、平成14年度までに大型浚渫兼油回収船3隻を全国に配備するなどの取組みを進めるとともに、中国、韓国及びロシアなど近隣諸国との協力体制の構築を北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じて進めているところである。

 

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