第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

(8)国際交流を活かした事例

 
山口県下関市 〜韓国との交流を活かしたまちづくり〜


 下関市は、本州と九州の結節点に位置する人口約25万人の海峡と歴史の街である。韓国・釜山との間に就航しているフェリー航路は、韓国への玄関口としての役割を果たしてきている。こうした中、韓国との国際交流が市民と行政のそれぞれで行われてきた歴史を踏まえ、交流人口の拡大による地域の活性化を図っている。

 下関市の中心部のグリーンモール周辺商店街は、韓国の食材・物産品の販売店や焼肉店等が多数存在する国際色豊かな街並みで、多くの地元・近隣消費者に利用されてきたが、大型商業施設の進出等により来街者が減少する状況にあった。そこで、地元商店街と商工会議所が中心となって、地元の交流団体の協力を得て、平成13年に第1回「リトル釜山フェスタ」を開催し、韓国伝統舞踊の披露、韓国民族衣装の展示試着、韓国物産や韓国料理の販売等を実施した。これにより地区の特色を発信し、多数の来客があったことから商店街関係者の意識も高まり、その後も、テコンドー模範演武、キムチづくり実演やポッタリ市等、イベント内容や広報活動等を広げながら毎年開催され、14年からは市による補助も行われている。

 
<リトル釜山フェスタ>



 このリトル釜山フェスタのほか、観光業や商業での韓国との人的交流も行われており、商工会議所による関釜フェリーを利用した格安ツアーの試験的実施など、韓国人観光客の誘致に取り組んでいる。市においては、韓国人観光客と指差しで意思疎通を図れる「接客対応ガイドブック」を作成し、市内のホテル・旅館や飲食業関係、商業施設に配布し、観光客に対する「おもてなし」の向上に取り組んでいる。

 また、関門海峡を挟んで北九州門司港レトロ地区と相対する唐戸ウォーターフロント地区には、地域特性を活かした新水族館「海響館」をはじめ、市民の食文化を担う新「唐戸市場」、複合商業施設「カモンワーフ」など観光拠点を整備し、“関門エリア”で一体となった観光振興を展開している。

 
<海響館>



長崎県美津島町 〜対馬ちんぐ音楽祭〜

 美津島町(平成16年3月より対馬市)は、対馬に位置し、古来より、その地理的関係から、韓国と日本との中継点として、様々な交流が行われてきた。現代においても、中学校の姉妹校締結による相互訪問など交流の輪は一層活発化しており、特に、日韓両国アーティストによる野外コンサートや出演者と観客が参加する島の食材を使ったバーベキュー形式の交流会を行う「対馬ちんぐ音楽祭」は、一大イベントである。当初、町主催で開かれたが、民間レベルでの交流を進めるため、現在では、住民や町内外の民間団体が主導し、町も加わる実行委員会が音楽祭を実施している。

 
<対馬ちんぐ音楽祭>



 

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