第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

2.明確かつ適切な目標像の設定

(顧客と参加者の双方から共感される目標像)

 目標像が、その顧客として想定した利用者・需要者の欲求(ニーズ)を満たすものでなければならないことは当然である。企業の技術・商品・サービス開発においても、顧客重視の立場を徹底し、顧客との度重なる接触により築いた密接な関係を通じて、その声に耳を傾け、顧客の真の欲求に対応する努力が払われている。地域づくりにおいても、企業にとっての顧客に相当する観光客や商店街の利用者、その地域に暮らす生活者などの真の欲求を把握し、取組みに還元していく必要がある。
 また、同時に、目標像が参加者にとっても興味をもつことができ、自己実現などの欲求を満たし、共感を得るものとなっていることが、その目標像の実現へ向けた取組みへの自発的な参加へとつながっている。そうした共感を得ることのできる目標像は、地域に暮らす人々の生活と密接に関係したものであることが必要であり、例えば、町全体を対象に、100年をかけて自然と調和した美しい居住環境を構築するため、地場産の杉を活用した伝統的工法に基づく住宅を普及する取組みにも見られるように、地域で暮らす住民の生活の質を向上し、地域への誇りを強くすることができる過程と内容となっていることが、結果として取組みを実現させ、地域の魅力の向上を通じて観光客の増加にもつながっている。

 
<伝統的工法の住宅の街並み>



 

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