第II部 国土交通行政の動向 

第3章 都市再生の推進

 我が国においては、高度経済成長期に急速な都市化が進み、都市に集中する産業や人口の受け皿づくりへの対応に追われることとなった。このような状況の中で、現在の都市は、慢性的な交通渋滞、防災上危険な市街地の存在、緑やオープンスペースの不足など20世紀の負の遺産ともいうべき課題を抱える一方、オフィスの情報化対応や国際的な交通手段の整備、バリアフリー化や保育・介護サービスの充実など、新たな課題にも直面している。また、人口減少、少子高齢化時代に対応するため、多様な都市機能が集積するとともに都市空間の質が維持される、環境負荷の小さい集約・修復保存型の都市構造へ再編し、安全・快適で美しい「生活・活動・交流空間」を創出することが求められている。
 こうした中、民間事業者や住民の創意・工夫を生かした個性あるまちづくりを進めることで、我が国の活力の源泉である都市を、文化と歴史を継承しつつ、豊かで快適な、さらに国際的にみて競争力のある、魅力と活力に溢れた都市へと再生していくことが重要になっている。
 また、都市の再生は、土地の流動化を通じて不良債権処理等にも資するものである。
 このため、国土交通省では、内閣に設置された都市再生本部とも密接に連携しつつ、民間の活力を活かした都市づくり、全国都市再生の推進、都市再生プロジェクトの推進に全力をあげて取り組んでいる。

 

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