第II部 国土交通行政の動向 

(2)ヒートアイランド対策

 近年、郊外と比較して、都市の中心部における顕著な高温化が都市の環境問題の一つとして大きくクローズアップされている。この「ヒートアイランド現象」は、空調機器等からの人工排熱の増加、緑地・水面の減少や地表面の人工化等が主な原因と言われている。

 
図表II-3-2-2 東京(大手町)と中小都市の年平均気温の経年変化(5年移動平均)

年平均気温と1971年から2000年の30年間を平均した平年値との差である平年差は、東京の大手町では、長期変化傾向として1900年が-2.5度で2002年が0.4度となっているのに対し、中小都市の平均では、1900年が-0.9度で2002年が0.2度となっており、東京の変化が大きくなっている。
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 こうした状況から、国土交通省では、ヒートアイランド現象の解消に必要な観測・調査・分析、まちづくりや緑地整備等の具体的事業、税制等の誘導措置まで、所管する幅広い分野の施策を、相互に連携してより効率的かつ総合的に推進するための検討を進めるとともに、以下の具体的施策を重点的に推進している。また、政府においては「ヒートアイランド対策関係府省連絡会議」を設置し、平成15年度内にヒートアイランド対策に係る大綱を策定する予定である。
 国土交通省では、ヒートアイランド現象の緩和に向け、以下の具体的施策を重点的に推進している。
・気象データの分析、都市気候モデルの活用による現況の把握及び実態の解明
・数値シミュレーション(計算による実験)により、緑地保全・緑化等によるヒートアイランド現象緩和効果について検討
・都市公園の整備、民有地での屋上・壁面緑化等、市街地における緑とオープンスペースの機動的確保
・水面積の拡大や雨水の貯留・浸透、下水処理水の路面散水、循環水の活用による都市廃熱の区域外処理システムの検討等の実施
・政策金融や環境共生住宅市街地モデル事業等による住宅・建築物における対策の推進
・緑の拠点の形成、公園、河川、道路、下水道等の連携により、広域的視点に基づく水と緑のネットワークの形成を推進

 
図表II-3-2-3 ヒートアイランド対策

都市のヒートアイランド現象を解消するため、気象データの分析やヒートアイランド予測モデルの作成等の調査・研究から、緑とオープンスペースの機動的確保や水の蒸発散機能の活用などの具体的事業、また、モデル事業等による誘導施策や実験プロジェクトを行い、広域的な水と緑のネットワークの形成や東京,大阪等での関連瀬策の集中実施を行う。

 

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