第II部 国土交通行政の動向 

3.良好な都市環境の構築

(1)ゴミゼロ型都市への再構築
 都市再生プロジェクト第一次決定においては、大都市圏において、廃棄物の発生抑制、資源としての再使用、再利用を進め、資源循環の「環」を形成することにより、ゴミゼロ型都市への再構築を行うこととしている。これを受け設置された首都圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、平成14年4月に「東京圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」を取りまとめ、15年7月に第1回目のフォローアップ(追跡調査)を実施した。また、京阪神圏ゴミゼロ型都市推進協議会では、15年3月に「京阪神圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けて」を取りまとめた。国土交通分野においては、特に大量に排出されている建設廃棄物について、排出抑制・リサイクルの取組みを強化することや、リサイクル市場の拡大に伴い静脈系の物流を十分に考慮した静脈物流システムの構築が必要となっている。
 建設廃棄物については、首都圏において、今後、昭和40年代以降に急増した建築物が更新期を迎えるため、その解体に伴い、がれき類、混合廃棄物等が急増する見込みである。このため、建築物の長寿命化対策や建設リサイクル法(注)による分別解体・再資源化等を推進するとともに、リサイクルされた再生品の市場拡大を図るため、工事発注者・排出業者・処理業者間において処理施設の稼動状況や再生資源の供給場所・量等に関する即時の情報を交換する建設副産物情報交換システムの活用等によるリサイクルルートの確保に努めている。
 廃棄物の輸送については、従来、少量・短距離輸送が主流であったが、今後、リサイクル対象品目の増加等によるリサイクルの進展等により、輸送の大量化・中長距離化が進むものと予想される。一方、廃棄物は重量に比べかさばるものがあり、一般的に運賃負担力が弱いこともあって、リサイクルの進展に伴う輸送の拡大により大量の自動車輸送が生じることも予想される。特に大都市圏においては、既に、交通公害、交通渋滞が極めて深刻な状況になっているだけに、大気汚染防止や地球温暖化防止、交通の円滑化の観点等も踏まえて、環境負荷・交通負荷の小さい物流体系を構築していくことが必要である。このため、平成15年度は、京阪神圏における鉄道・海運及びトラック共同輸送などを活用した環境負荷低減型静脈物流システムのあり方及びその実現のための政策の具体化について検討を行っている。
 特に、港湾や海運の活用については、「首都圏港湾を中心としたゴミゼロ型都市形成のための静脈物流検討調査」を実施し、各臨海部の現状と整備の方向性や東京湾内港湾における静脈物流拠点形成方策の検討を行った。

 
図表II-3-3-9 建設副産物情報交換システムの概要

建設副産物情報交換システムでは、排出事業者は、施設情報の検索や建設副産物排出計画・実績情報の登録を行い、処理業者は建設副産物排出実績情報の検索、施設情報の登録・更新を行い、工事発注者は施設情報の検索、実績情報の確認を行うことができる。

 
図表II-3-3-10 東京湾における各臨海部の現状と整備の方向性

東京臨海部においては、東京都から広域に廃棄物が移動している現状のもと、リサイクル処理施設をさらに集積する方向でいる。京浜臨海部及び千葉臨海部においては、既存の装置型産業が立地している現状のもと、国際静脈物流拠点を形成する方向でいる。


(注)建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

 

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