第II部 国土交通行政の動向 

(3)悪質・潜在海上環境事犯の根絶

 近年は、国際条約の改正を受けて汚水の海洋への排出が厳しく規制されるなど、海洋環境保全をめぐる動きは非常に活発となってきている反面、廃棄物等の陸上処理場がひっ迫していることや、汚水等を適正に処理するための費用負担を逃れようとする者が跡を絶たないことから、海域への廃棄物不法投棄、汚水の不法排出等の海上環境事犯は続発している。一方で、犯行手口の悪質・巧妙化、潜在化に加え、現場の取締勢力も業務ニーズの多様化等により、その運用がひっ迫しつつあることから、近年検挙件数は減少傾向が続いていた。海上環境事犯は、景観の悪化、廃棄物や汚水中の有害物質による水質の汚染、水産資源への悪影響等を通じ、国民の健康かつ安全な生活に対する脅威となっているが、環境にかかる規制が強化されてきている中、今後さらに増加していくことが予想される。
 このため、なお一層関係機関等と連携協力して悪質事業者等に係る情報共有体制を構築するとともに、監視体制の見直し・強化、情報収集・分析能力の強化、犯罪鑑識体制の整備を行うことで犯罪取締体制を効率化・強化し、国民の生活環境悪化の防止に万全を期すこととしている。

 
<海岸に投棄された廃棄物>



 
<臨海工場の排水を調査する海上保安官>



 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む