第II部 国土交通行政の動向 

(2)悪質密漁事犯の根絶

 暴力団対策法の施行(平成4年)により、資金源確保に窮した暴力団は、沿岸部の密漁に着目し、全国各地で密漁事犯が増加傾向にある。組織化や供用船舶の高性能化により、悪質・巧妙化の様相を呈する最近の密漁事犯は、水産資源の枯渇による食生活への影響という問題にとどまらず、暴力団への資金供給や犯罪組織への少年の関与につながるほか、密漁関係者の暗躍等により地域の治安の悪化を招く等、国民の安寧な生活に対する脅威となっている。そのため、これらの犯罪組織の撲滅と事犯の根絶は焦眉の急であり、関係機関や地域住民等との連携協力、監視取締り実施時の追跡や情報収集を推進している。
 また、外国漁船による我が国領海及び排他的経済水域における違法操業は、我が国がその貴重な水産資源を枯渇から守るため、主権又は主権的権利の行使として設定した漁業秩序を著しく乱す行為であることから、断固とした取締りを行う必要がある。しかしながら、違法操業を行う外国漁船が、高速・高性能化しており、時に他国領海内に逃げ込まれ、逃走を許してしまう状況であることから、関係国当局機関との情報交換、通報等に係る連携を強化するとともに、巡視船艇及び搭載する捕捉資器材等取締装備の充実整備等を行っている。

 

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