第II部 国土交通行政の動向 

2.プレジャーボートの利用環境改善

(1)プレジャーボート等の利用促進及び適正化に向けた総合対策

1)小型船舶操縦士制度の見直し
 小型船舶の利用者のニーズに適確に応えるとともに、小型船舶の航行の安全を一層図るために、小型船舶の免許制度を定める船舶職員法の一部を改正し、「船舶職員及び小型船舶操縦者法」を平成15年6月から施行した。旧制度下では一級から五級の5つに区分されていた小型船舶操縦士の資格を、一級、二級及び特殊小型(水上オートバイ専用)の3つの区分に再編成し、航行区域や船舶の大きさに応じて限定を設定する等の制度を設けた。
 更には小型船舶の船長が遵守すべき事項(ライフジャケット等の着用、酒酔い操縦の禁止等)の周知・徹底等、関係機関とも連携しつつ、効率的かつ効果的な安全指導活動等を行っているところであり、小型船舶の一層の航行の安全を図っている。

 
図表II-5-6-1 資格体系の見直し

船舶職員法を船舶職員及び小型船舶操縦者法に改正することによって、大型業務用船舶については海技免許を義務付け、小型船舶操縦者については小型船舶免許を義務付けることで、手続等が簡素化された。

 
図表II-5-6-2 資格区分の再編

現行1級から5級まである区分をモーターボート等については1級と2級の区分にし、水上オートバイは小型特殊とした。

2)小型船舶の登録制
 小型船舶に対する登録・測度の義務付け等を内容とする「小型船舶の登録等に関する法律」(平成14年4月施行)により、小型船舶の所有者を特定することが可能となり、また平成17年4月には、全ての小型船舶の所有者が登録特定されるため、放置艇の適切な係留場所への誘導等が可能となる。

3)関係者への啓発活動等による安全の確保
 平成10年から14年までの5年間で、小型船舶からの海中転落した事故者の生存率が、ライフジャケット(救命胴衣)着用の場合80%、未着用の場合25%であることからも明らかなように、ライフジャケットの着用が死亡・行方不明事故の防止に大きく寄与している。このため、官民一体となった関係諸機関の連携・協力のもと「ライフジャケット着用推進会議」を開催し、相互に最近の取組みや啓発活動計画について情報交換を行うとともに、ライフジャケット着用推進活動のための統一的シンボルマークを作成するなどの施策を推進している。
 海上保安庁では、ライフジャケットの常時着用に加えて、携帯電話等の適切な連絡手段の確保、海上保安庁への緊急通報用電話番号「118番」の有効活用を3つの基本とする自己救命策確保キャンペーンを実施して啓発・普及に努めている。地方運輸局においては、各地で開催されるマリンイベント等を通じてライフジャケット着用推進に関する各種の啓発活動を実施している。さらに、プレジャーボート安全利用情報システムの構築、安全機能の向上及び環境に配慮した新しい基準の策定、地方運輸局におけるプレジャーボート関係者との連絡体制の構築等を行うことにより、プレジャーボート利用者の安全確保に取り組んでいる。

 

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