第II部 国土交通行政の動向 

(2)新幹線鉄道の整備

 新幹線は、国土の骨格を形成する大量・高速交通機関であり、その整備により、移動時間が大幅に短縮され、沿線都市の人口の増加や地域経済の発展に大きく寄与する。また、新幹線は交通機関の中でももっとも安全(昭和39年の東海道新幹線の開業以来、乗客の死亡事故はゼロ)であり、省エネルギーで環境にやさしい交通機関(CO2排出原単位は航空機の1/5、自家用車の1/8、エネルギー消費量は航空機の1/4、自家用車の1/6)である。
 既存の新幹線については、平成15年10月に東海道新幹線の品川新駅が開業し東京南西部へ向かう所要時間が短縮され、また、16年3月に上越新幹線に本庄早稲田駅が新設されるなど更なるサービス向上のための取組みがなされている。
 整備新幹線については、全国新幹線鉄道整備法に基づき整備計画が定められており、従来から政府与党間の申合せ等に基づき着実に整備を推進している。平成12年12月には、開業効果をできる限り早期に発揮させることが国民経済上重要との観点から、既に着工した区間の早期完成を優先して行うとともに、収支改善効果や投資効果等を厳密に検証した上で、既に着工している区間と同時開業が望ましい区間を新たに着工することなどを内容とする政府・与党申合せが決定された。当該申合せに基づき、東北新幹線盛岡・八戸間は14年12月に、九州新幹線新八代・鹿児島中央間(西鹿児島駅は九州新幹線の開業に伴い鹿児島中央駅に名称変更)は16年3月に開業した。16年3月末時点で、東北新幹線八戸・新青森間、北陸新幹線長野・富山間、石動・金沢間、九州新幹線博多・新八代間の3線4区間の建設を推進している。
 なお、整備新幹線を建設する区間の並行在来線については、JRの経営に対する過重な負担を避けるため、累次の政府与党間の申合せ等において、整備新幹線の開業時にJRの経営から分離することとされている。東北新幹線盛岡・八戸間の開業に伴い、東北線盛岡・八戸間はJR東日本の経営から分離され、盛岡・目時間はIGRいわて銀河鉄道が、目時・八戸間は青い森鉄道が、それぞれ運行を引き継いだ。また、九州新幹線新八代・鹿児島中央間の開業に伴い、鹿児島線八代・川内間はJR九州の経営から分離され、肥薩おれんじ鉄道が運行を引き継いだ。

 
図表II-6-2-6 整備新幹線の現状

平成16年3月13日に九州新幹線新八代、鹿児島中央間が開業し、東北新幹線八戸、新青森間、北陸新幹線長野、富山間、九州新幹線博多、審八代間は建設中である。

 
図表II-6-2-7 新幹線整備後の概算所要時間

建設中の新幹線が整備されることにより、例えば東北新幹線東京、新青森間は約70分短縮、北陸新幹線東京、富山間は、約60分短縮、九州新幹線博多、鹿児島中央間は、約2時間20分短縮される。

 
<九州新幹線つばめ>



 

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