第II部 国土交通行政の動向 

(2)スーパー中枢港湾プロジェクトの推進

 アジア域内において港湾間競争が激しさを増す中で、我が国港湾は、相対的地位を低下させている。我が国港湾の競争力の低下は、コンテナ船基幹航路の寄港頻度の減少を招き、最終的には、我が国における産業立地の優位性を損なうこととなり、我が国の経済活性化に必要な産業競争力の回復等のため、経済活動を根底から支える港湾の国際競争力の重点的な強化が喫緊の課題となっている。
 こういった状況にかんがみ、平成14年11月の交通政策審議会答申「経済社会の変化に対応し、国際競争力の強化、産業の再生、循環型社会の構築などを通じてより良い暮らしを実現する港湾政策のあり方」において、スーパー中枢港湾の育成が提案された。スーパー中枢港湾は、ターミナルシステムの統合・大規模化、IT化等の施策を先導的・実験的に官民一体で展開することにより、アジア主要港を凌ぐコスト・サービス水準の実現を図るため、港湾コストの約3割低減及びリードタイム(コンテナ船の接岸から荷主による引取りが可能となるまでの時間)の1日程度への短縮(現状3〜4日)を目標とするものである。
 これを受けて、全国の港湾管理者からスーパー中枢港湾の候補の公募を行い、平成15年3月には、全国の港湾管理者からの応募に係る8地域(港)のうちからスーパー中枢港湾の候補として、東京港・横浜港、名古屋港、神戸・大阪港、北九州港及び博多港の5地域(港)を選定したところである。今後はこれらの候補が作成する「スーパー中枢港湾育成プログラム」のスーパー中枢港湾指定基準への適合性等を審査し、速やかにスーパー中枢港湾の指定を行うこととしている。

 
図表II-6-5-2 スーパー中枢港湾プロジェクトの推進

スーパー中枢港湾は、アジア主要港湾を凌ぐコスト・サービスの実現を図ろうとするものであり、具体的には次世代高規格コンテナターミナルにおいて、港湾コストは現状より約3割低減し、リードタイムは現状3〜4日をシンガポール港並みの1日程度まで短縮することを目標としている。

 

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