第II部 国土交通行政の動向 

(5)専門工事業、建設関連業等の経営基盤の強化

1)下請セーフティネット債務保証事業
 中小・中堅建設業者の担保力・信用力を補完し、工事途中での資金不足の発生等を防ぎ、さらに下請代金の支払いの適正化を図るため、「下請セーフティネット債務保証事業」を行っている。平成15年12月現在、公共工事用債務保証枠は28都府県で合計1,270億円(対前年比+104億円)、民間工事用債務保証枠は1県20億円が設定されている。

 
図表II-6-6-12 下請セーフティネット債務保証事業のスキーム図

下請けセーフティーネット債務保証事業とは、元請業者の資金調達の円滑化、下請代金の支払の適正化等を図るため、公共工事や一部の民間工事の請負代金債権を担保にして組合等が元請業者に対し転貸融資を行う際、(財)建設業振興基金が事業協同組合等の借り入れた転貸融資資金に対し債務保証を行う事業である。

2)中小建設業等
 中小・中堅建設業者による、経営力・施工力の強化のための経常建設共同企業体の活用を促進している。また、中小建設業者等の組織化、事業の共同化を推進しており、平成15年度には事業協同組合等の共同事業の活性化や事業革新活動を促進している(注)
 さらに、政府系中小企業金融機関の融資制度等により中小建設業者の事業資金の円滑な供給を図っている。
 このほか、企業連携によるリフォーム分野、環境分野、福祉分野等の新市場開拓についての研究および情報の提供等を行っている。

 
図表II-6-6-13 中小建設業への融資実績(平成14年度)

平成14年度における中小企業への融資実績は、中小企業金融公庫では融資残高5,095億円で全体の6.8%、昨年から0.5%減少となっており、国民生活金融公庫では融資残高1兆3,172億円で全体の16.0%、昨年並みとなっており、商工組合中央金庫では融資残高3,463億円で全体の3.4%、昨年から1.6%の減少となっている。また、平成14年度における信用保証協会による中小建設業への債務保証は、保証承諾件数が373,956件、保証承諾額が全産業の27.1%を占める3兆8,088億円となっている。
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3)専門工事業
 優勝劣敗・淘汰の時代を迎えた専門工事業者が自立した企業を目指すよう、「専門工事業イノベーション戦略」を提示し、自己改革の道しるべとしている。
 躯体工事業者、仕上工事業者、設備工事業者、建設関連業者等の各団体の指導を行うとともに、専門工事業団体及び建設関連業団体からなる(社)建設産業専門団体連合会と定期的に情報・意見交換を行い、専門工事業者団体等の育成に努めている。

4)建設関連業(測量業、建設コンサルタント、地質調査業)
 建設関連業については、建設投資の厳しい動向の中で、平成14年6月にとりまとめられた「建設関連業展開戦略」に沿って、各業界が新たな展望等を示すとともに、それぞれの企業が、その特性を生かした経営戦略の下で、技術力と人材を経営資源とする知的産業として、適正な競争市場への参加と新たな業務領域の拡大に努めているところである。
 国土交通省では、このような経営基盤の強化と技術力の向上に努めている企業が活躍できる環境の整備を支援する観点から、社会ニーズに即した技術力の一層の活用に向けた検討を進めるとともに、技術士制度を活用した建設コンサルタント登録規程の見直しを行った。


(注)建設業の事業協同組合:4,818組合、協業組合:42組合、企業組合:132組合

 

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