第II部 国土交通行政の動向 

(1)船舶の安全性の向上及び船舶航行の安全確保

 船舶の安全に関しては、IMO(国際海事機関)を中心に国際的な基準が定められており、我が国は、同基準を満たさない船舶(サブスタンダード船)の排除に向けた国際協調のさらなる推進やPSCの厳格な実施等に取り組んでいる。また、国内においては、技術的な規制の効果の客観的な評価を行う「船舶の総合的安全評価」を実施しているほか、ITを活用して船舶の推進機関等の状態を陸上から遠隔監視・診断する「高度船舶安全管理システム」の構築を目指して研究開発を進めており、平成15年度には実験船を使用した故障診断技術の海上評価試験を開始した。
 一方、船舶の高速化等海上交通環境の変化に対応し、大規模海難の発生を防止するなど船舶航行の安全を確保するため、既存航路の拡幅・増深及び水深の維持、AISを活用した次世代型航行支援システムの整備等を行うとともに、平成15年度には航路標識の新設を8箇所、老朽化した航路標識施設及び機器の更新等の改良・改修を624箇所、避難港の整備を下田港等8港で実施している。さらに、外国人の運航する船舶の海難防止対策の一環として英語版の海図及び水路誌の刊行等を実施し、水路図誌の充実を図ることとしている。
 また、旅客船事業者(海上タクシー等の届出事業者を含む)については、運航管理規程の整備や運航管理官の選任を義務付け、より一層の輸送の安全確保を図っている。
 さらに、マラッカ・シンガポール海峡を通航する船舶は多様化・複雑化が進み、同海峡利用国の航行安全対策の一層の充実強化を目指す動きが進みつつある中、今後の同海峡における航行安全対策、海洋汚染防止対策等を進めていくために不可欠な同海峡沿岸国及び利用国の間の協力関係の構築に向けて、我が国は主要利用国の一つとして積極的な役割を果たすこととしている。

 

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