第II部 国土交通行政の動向 

(3)水質の調査と水質事故対応

 水道等の水源として、また、良好な水環境を保全・回復する上で水質の改善を求める声は強く、河川・湖沼・ダム・貯水池の水質の調査・監視はますます重要になっている。直近調査(平成14年分)では、109水系の1,094地点(約10kmに1地点の割合)を調査し、結果を公表している。

・BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量):調査地点の85%が環境基準を満足しており、長期的には、着実に水質が改善傾向にある。
・大都市部の河川:近年はBOD75%(注)値10mg/lをほとんどの地点で下回り、かなり水質改善が進んできている。
・人の健康の保護に関する環境基準項目:砒素など26項目については若干の地点を除き環境基準を満たしている。
・要監視項目:要監視22項目のうち指針値が設定されている19項目については、すべて指針値を満たしている。

 
図表II-8-5-3 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値の経年変化

主要都市河川代表地点におけるBOD75%値は、近年10ミリグラムパーリットルをほとんどの地点で下回っている。例えば、綾瀬川(手代橋)では、BOD75%値が、昭和49年には41.1ミリグラムパーリットルlだったが、平成2年には23.2 ミリグラムパーリットル、平成14年には7.4ミリグラムパーリットルまで減少している。
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 また、環境省と連携して、小中高生等一般の方々に参加してもらい(平成14年度は91,649人)、トビケラ、サワガニ等、水質の指標となる水生生物の生息状況を調査している。
 平成15年度には、全国の15の代表河川において、河川流量と流域からの排出量等に着目した新たな指標を試算した。今後は、この試算結果を踏まえ、必要な見直しを行った上で、さらに対象を広げ調査を実施することとしている。
 一方、油類や化学物質の流出等により生じる河川の水質事故は、平成14年に一級水系で875件発生しており、河川利用者の水質への関心の高まりや情報連絡体制の充実等の背景もあり、年々事故件数が増加する傾向にある。なお、「水質汚濁防止連絡協議会」を全国の109水系のすべてに設立し、事故発生時の速やかな通報・連絡、オイルフェンスの設置等被害の拡大防止に努めている。


(注)例えば、月1回の測定の場合、12個のデータを小さい順に並べたときの9番目(全体の75%がこれ以下となる値)のもの

 

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