第II部 国土交通行政の動向 

第7節 海洋汚染の防止

(1)大規模油汚染対策

 近年の大規模油汚染の背景には、海上安全・海洋環境保全に関する条約等の基準を満たさない船舶(サブスタンダード船)の存在が大きな要因の一つであることがクローズアップされており、これを排除していくために、国際的船舶データベース(EQUASIS)の構築などの国際的な取組みに積極的に参加するとともに、日本に寄港する船舶に対して立ち入り検査を行い、基準を満たしているかどうかを確認するポートステートコントロール(PSC)の強化を行っているところである。
 国際的には、油タンカーによる大規模油汚染事故の発生を受け、IMO(国際海事機関)において海洋汚染防止条約(MARPOL73/78条約)の改正の検討が行われているが、日本は、同条約の改正に関する提案を行うなど、海洋汚染防止のための国際的取組みに積極的に貢献してきている。
 また、平成14年1月の「交通に関する大臣会合」において我が国が提唱した、旗国等がSOLAS・MARPOL73/78条約等IMOの条約の実施を徹底しているかについてIMOが監査を行う制度の創設は、15年11月のIMO総会において、「任意によるIMO加盟国監査スキーム」として原則承認された。
 さらに、日本周辺において大規模油流出事故が発生した場合に備えて、事故発生後直ちに現場に到着し、迅速に油回収ができるような体制作りを強化するとともに、中国、韓国及びロシアなど近隣諸国との協力体制の構築を北西太平洋地域海行動計画(NOWPAP)を通じて進めているところである。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む